E85

E85とは

E85は、エチルアルコール85%とガソリン15%で構成された代替燃料です。この燃料は特にフレックス燃料車（FFV）で使用され、アメリカのフォードやゼネラルモーターズ、ダイムラー、マツダなどの自動車メーカーによる車両に搭載されています。E85は、ガソリン車に直接使用できませんが、特定の車両で効果的に燃焼することができます。

エネルギー効率と代替燃料としての利用

E85はそのエネルギー効率が特徴的です。具体的には、1リットルのガソリンが持つエネルギーは、およそ1.4リットルのE85に相当します。これにより、E85は単純に燃料としてだけでなく、環境に配慮した代替燃料としての役割も果たしています。さらに、バイオマスエタノールはE85の生産に使われるだけでなく、ガソリンの10%を加えることで、燃焼剤としても利用されることがあります。特に、メチルtert-ブチルエーテル（MTBE）は水質汚染の問題から規制されており、この代わりにエチルtert-ブチルエーテルがガソリン添加剤として使用されることもあります。

サステナビリティとカーボンニュートラル

トウモロコシなどの穀物から生成されるバイオマスエタノールは、カーボンニュートラルな特性を持つとされています。つまり、その生産過程での二酸化炭素放出は、植物の成長過程で吸収されるため、大気中の二酸化炭素の増加に寄与しにくいという利点があります。しかし、耕作や収穫などで農業機械を使用することや、醗酵過程でエネルギーを消費する点も考慮に入れなければなりません。最近では、非可食材料を原料としたセルロシック・エタノールの開発が進み、エネルギー省もフレックス燃料車の普及に力を入れています。これにより発展途上国では、地元の資源を利用することで、産油国からの石油依存を減らす効果が期待されています。

E85の利用状況

E85は、2012年以降はインディカー・シリーズでも使用されていますが、寒冷地ではエンジン始動が難しくなるため、ガソリン用のタンクを備えた車両設計が広く普及しています。日本では、2003年に施行された法律改正により、E85の一般販売は禁止されていますが、競技用燃料としては輸入品が流通しており、2018年には日本サン石油から「SUNOCO E85-R」というドリフト・タイムアタック用の燃料が発売されました。また、2024年以降のD1グランプリにE85が指定燃料として採用され、2023年からの供給が見込まれています。

まとめ

E85はエネルギー効率の良い代替燃料として、環境に優しい側面を持ちながら、フレックス燃料車への利用が進んでいます。その特性を生かすことで、持続可能なエネルギー利用が期待されています。

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