フレッチャロッサ

フレッチャロッサ（Frecciarossa/略称：FR）は、イタリアの鉄道会社トレニタリアが運行する高速列車です。その名前はイタリア語で「赤い矢」を意味し、その名の通り、高速で都市間を結びます。

運行開始と歴史

フレッチャロッサは、2008年12月にETR500型車両を使用し、最高速度300km/hで運行を開始しました。この高速列車は、イタリアの主要都市を結ぶ重要な交通手段としての役割を担っています。

2012年6月には、それまで高速鉄道サービスとして展開していたユーロスター・イタリアを廃止し、フレッチャロッサとフレッチャルジェント（Frecciargento）の2つのカテゴリーに完全に再編されました。これにより、イタリアの高速鉄道網はより明確に整理され、利用者にとって分かりやすくなりました。

2015年6月14日からは、新型車両ETR400を使用したフレッチャロッサ1000（Frecciarossa1000）が運行を開始し、更なる高速化と快適性の向上が図られました。

運行系統

フレッチャロッサは、イタリア国内の主要都市を結ぶ広範な路線網を持っています。2014年冬ダイヤでは、ローマ・テルミニ駅とミラノ中央駅をノンストップで結ぶ幹線系統に1時間に1本（1日19本）の列車が運行され、一部はトリノやナポリまで延長運転されています。また、途中停車ありでミラノ中央駅とナポリ中央駅を結ぶ系統も1時間に1本運行されており、ボローニャ、フィレンツェ、ローマ・ティブルティーナ駅に停車します。

ローマ・テルミニ駅とミラノ中央駅間をノンストップで結ぶ9614列車の所要時間は2時間55分です。

車両

ETR500型電車

フレッチャロッサの運行開始当初から使用されている車両で、最高速度300km/hで走行します。11両編成で運行され、座席は4つのクラスに分かれています。上位からエクゼクティブ、ビジネス、プレミアム、スタンダードの順です。

エクゼクティブクラスの乗客には、飲み物や食事、新聞、雑誌が無料で提供されます。ビジネス、プレミアムクラスの乗客には、ウェルカムドリンクと新聞（13時まで）が提供されます。また、食堂車も連結されています。

ETR400型電車

2015年から運行を開始した新型車両で、フレッチャロッサ1000、ETR1000とも呼ばれています。営業最高速度はETR500と同じく300km/hですが、将来は360km/hでの運行も視野に入れています。8両固定編成ですが、2編成を連結して16両編成で運行する場合もあります。

座席クラスはETR500と同じ4クラス制です。

運行区間

2022年現在、フレッチャロッサは以下の区間で運行されています。

トリノ - ミラノ - レッジョ・エミリア - ボローニャ - フィレンツェ - ローマ - ナポリ - サレルノ
トリノ - ミラノ - ブレシア - ヴェローナ - パドヴァ - ヴェネツィア - トリエステ
ベルガモ - ブレシア - ヴェローナ - ボローニャ - フィレンツェ - ローマ
トリノ - ミラノ - ブレシア - ヴェローナ - パドヴァ - ヴェネツィア - トレヴィーゾ - ウーディネ
ジェノヴァ - パヴィーア - ミラノ - ブレシア - ヴェローナ - パドヴァ - ヴェネツィア
ヴェネツィア - パドヴァ - ボローニャ - フィレンツェ - ローマ - ナポリ - サレルノ
ヴェネツィア - パドヴァ - ボローニャ - フィレンツェ - ローマ - フィウミチーノ空港
トリノ - ミラノ - レッジョ・エミリア - ボローニャ - フィレンツェ - ローマ - ナポリ - サレルノ - ターラント
トリノ - ミラノ - レッジョ・エミリア - ボローニャ - リミニ - ペーザロ - アンコーナ - ペスカーラ - バーリ - ブリンディジ - レッチェ
ペルージャ - アレッツォ - フィレンツェ - ボローニャ - レッジョ・エミリア - ミラノ - トリノ
ヴェネツィア - パドヴァ - ボローニャ - フィレンツェ - ローマ - ナポリ - サレルノ - サプリ
ナポリ - ローマ - フィレンツェ - ボローニャ - ミラノ - ブレシア
ミラノ - トリノ - リヨン（フランス） - パリ（フランス）
リヨン（フランス） - パリ（フランス）

事故

2020年2月6日、ミラノ中央駅発サレルノ駅行きのフレッチャロッサ1000列車がローディ県リヴラーガ付近で脱線転覆する事故が発生しました。この事故により、運転士2名が死亡し、乗客乗員計31名が負傷しました。

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