トレニタリア

トレニタリア（Trenitalia）

トレニタリアは、イタリアの鉄道輸送を担う主要な企業であり、イタリア国鉄（Ferrovie dello Stato、FS）の列車運行業務を民営化によって引き継いだ会社です。しかし、イタリア国鉄自体は民営化後、フェッロヴィーエ・デッロ・スタート株式会社 (Ferrovie dello Stato S.p.A.) として再編され、トレニタリアの全株式を保有する親会社となっています。そのため、略称は国鉄時代から変わらず「FS」が使用されています。

概要

トレニタリアの鉄道路線はイタリア全土を網羅しており、その総営業キロは約1万6,000kmに及びます。これは日本の[[鉄道]]網の密度とほぼ同等です。主要な電化方式は直流3,000Vであり、日本の[[鉄道]]と同様に電車を中心とした運行が行われています。特に、1930年代から特急電車の運行を開始し、先進的な技術を取り入れたETR型電車は、連接台車とカルダン駆動方式を採用していました。

これらのETR型電車は、ETR200、ETR250、そして有名なETR300（セッテベッロ）として製造され、技術発展を経て、現在の高速列車ETR400/1000（フレッチャロッサ1000）へと繋がっています。

路線

イタリアの鉄道網は、経済格差を反映して、北部と南部で大きく異なります。ミラノ、トリノ、ジェノヴァといった主要都市を抱える北部では鉄道網が密である一方、南部には鉄道空白地帯も存在します。また、イタリアは山岳地帯が多く、路線には勾配や曲線が多いため、動力分散方式の採用や車体傾斜式車両の研究開発が早くから進められてきました。電化にも力を入れており、都市間を直線的に結ぶ高速線（ディレッティッシマ）の建設も進行中です。複線化率は約4割で、左側通行が採用されています。

列車種別

トレニタリアには様々な列車種別があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

優等列車

フレッチャロッサ（Frecciarossa）:
「赤い矢」を意味し、ETR500型およびETR400型が使用される高速列車で、トレニタリアのフラッグシップ列車です。最高速度300km/hで高速新線を中心に運行しています。
フレッチャルジェント（Frecciargento）:
「銀の矢」を意味し、ETR485型、ETR600型またはETR610型（ペンドリーノ）を使用する新在直通の高速列車です。最高速度は250km/hで、2022年中にフレッチャロッサに統合される予定です。
フレッチャビアンカ（Frecciabianca）:
「白い矢」を意味する都市間長距離列車で、機関車と客車で構成されています。運賃はインテルシティよりも高く、従来線の特急列車として位置づけられています。2022年中にインテルシティに統合される予定です。
インテルシティ（InterCity）:
イタリア国内の都市間を結ぶ従来線の特急列車で、機関車と客車で運行されています。
エウロシティ（EuroCity）:
イタリアと国外の都市を結ぶ国際特急列車です。かつてスイス方面に運行されていたチザルピーノ（Cisalpino）も、事業終了後にユーロシティに統合されました。フランスのパリとミラノを結ぶ列車にはTGVが使用されますが、イタリア国内ではユーロシティとして運行されます。
インテルシティ・ノッテ（InterCity Notte）:
イタリア国内の都市間を結ぶ夜行列車です。
エウロナイト（EuroNight）:
ヨーロッパの都市間を結ぶ国際夜行列車です。

ローカル列車

レジョナーレ・ヴェローチェ（Regionale Veloce）:
中距離を運行する快速列車です。
レジョナーレ（Regionale）:
各駅に停車する普通列車です。

過去の列車種別

ディレット（Diretto）:
快速列車で、2006年12月にレジョナーレに統合されました。
インテルレジョナーレ（Interregionale）:
比較的長距離を走る普通列車で、いくつかの駅を通過することもありましたが、2006年12月にレジョナーレに統合されました。
トレノーケー（TrenOK）:
ローマとミラノ、ローマとバーリを結んだ格安特急列車で、全席2等車、初代ペンドリーノであるETR450型電車が使用されていました。2007年12月に廃止されました。
ティ・ビズ（T-Biz）:
全車ビジネスクラスのビジネス特急で、ミラノとローマ間をボローニャのみに停車していました。平日のみ1日2往復運行されていましたが、2008年12月にエウロスター・イタリア アルタ・ヴェロチタに置き換えられました。
インテルシティ・プラス（InterCity Plus）:
リニューアルされた客車を使用した全車指定席の特急列車でしたが、2009年6月に廃止され、エウロスター・シティに置き換えられたもの以外はインテルシティに格下げされました。
エウロスター・イタリア・アルタ・ヴェロチタ（Eurostar Italia Alta Velocità）:
2008年12月に導入された高速列車種別で、2012年6月にフレッチャロッサとフレッチャルジェントに分離されました。
エウロスター・シティ（Eurostar City）:
2006年12月に東海岸ルートで運行開始しましたが、2009年6月にインテルシティ・プラスの多くが移行し、路線が拡大しました。2011年12月にフレッチャビアンカに改称されました。
エウロスター・イタリア（Eurostar Italia）:
かつてはイタリアの看板列車として運行されていましたが、2012年6月に在来線特急となり、同年12月にフレッチャビアンカに統合されました。
エスプレッソ（Espresso）:
急行列車として運行されていましたが、末期は夜行列車として運行され、2012年12月にインテルシティ・ノッテに統合されました。

関連項目

フェッロヴィーエ・デッロ・スタート
TAV

外部リンク

* トレニタリア公式サイト

参考文献

[ここに参考文献があれば記述]

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