フレデリック・チルバ

フレデリック・チルバ：ザンビアの政治家

フレデリック・ジャコブ・タイタス・チルバ（Frederick Jacob Titus Chiluba、1943年4月30日 - 2011年6月18日）は、ザンビアの政治家であり、同国の第2代大統領（1991年 - 2001年）を務めました。

生涯

チルバは、カッパーベルト州のキトウェで生まれました。1980年代にはザンビア労働組合会議（ZCTU）の議長として、当時のケネス・カウンダ政権と対立しました。1990年、カウンダ大統領が一党制を廃止し、複数政党制の導入を決定すると、チルバが率いるZCTUは、カウンダの与党・統一民族独立党（UNIP）に対抗する勢力を結集し、複数政党制民主主義運動（MMD）を結党しました。チルバはMMDの党首に就任しました。

1991年の選挙で、MMDは150議席中125議席を獲得し、歴史的な政権交代を実現しました。チルバはザンビアの大統領に就任し、新政権を担うことになりました。

大統領としての政策と課題

チルバ政権は、前カウンダ政権の社会主義政策を転換し、経済の自由化を推進しました。外国資本の積極的な導入を図りましたが、1992年には政権内で相次ぐ汚職が発覚し、自治相、公共事業相、農業相、商工相、外相、地域開発相、法相が辞任する事態となりました。また、チルバ自身にも汚職疑惑が浮上しました。

与党MMDの支持率が低下する中、チルバは1996年の大統領選挙での勝利を目指し、前大統領カウンダの候補者資格に疑義を呈しました。カウンダの両親がマラウィ出身であることを理由に、大統領候補者資格に関する条項を盛り込んだ憲法を強行採決しました。これにより、野党が反発し、1996年の選挙は野党がボイコットする中でMMDが圧勝するという結果になりました。さらに1997年10月、チルバに反対する軍の一部がクーデター未遂を起こすと、チルバはカウンダをはじめとする主要な野党政治家を反乱謀議の疑いで逮捕しました。これらの強権的な政治手法に対し、欧米諸国は援助を停止し、外国からの投資も滞り、ザンビア経済は停滞を余儀なくされました。

退任後

2001年の大統領選挙にはチルバは出馬せず、レヴィー・ムワナワサ副大統領を後継者として指名しました。しかし2003年、ムワナワサ大統領はチルバの汚職を糾弾し、チルバは汚職の罪で逮捕・起訴されましたが、2009年に無罪判決を受けました。

2011年6月18日、チルバはザンビアの首都ルサカの自宅で死去しました。68歳でした。

フレデリック・チルバは、ザンビアの政治史において、複数政党制の導入と経済自由化を推進した一方で、汚職や強権的な政治手法により国内外から批判を受けた人物として記憶されています。

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