フード・プラネット

株式会社フード・プラネット

株式会社フード・プラネットは、かつて日本の札幌市中央区に本社を置いていた企業です。設立当初はコンピュータ関連技術やセキュリティ製品を手掛け、多角的な事業展開の末、長引く赤字や度重なる不正会計、内部管理体制の不備などが原因で上場廃止、そして破産に至りました。

概要と事業の変遷

同社の源流は、1986年3月に川合アユム氏によって大阪市に設立された「イーディーコントライブ株式会社（初代）」にあります。創業時はCD-ROMのコピー防止技術やコンピュータセキュリティ製品の開発・販売を主力としていましたが、その後、音楽レーベルや沖縄関連事業、さらに飲食事業などへと多角化を進めました。

2006年10月には持株会社体制へ移行し、商号を「株式会社YAMATO」に変更。傘下に飲食事業などを展開する子会社を置きました。その後、「株式会社アジェット」への商号変更を経て、2015年11月に最終的な商号である「株式会社フード・プラネット」となりました。本社所在地も大阪から東京都港区、最終的には札幌市へと変遷しています。

業績不振と経営の迷走

同社の経営は長期にわたり困難を抱えていました。2004年3月期以降、経常損益は継続して赤字が続き、2011年9月期には連結決算で債務超過に陥ります。一時的に債務超過を解消した時期もありましたが、主要子会社の連結対象除外などもあり、再び財務状況は悪化しました。

経営不振と同時に、経営陣への不信感が強まります。2013年には創業者に対する役員解任提案や、債権者からの破産申立が発生するなど、内部対立が表面化。この時期から経営陣や主要株主、会計監査人の変更が頻繁に行われ、本社移転なども実施されましたが、かえって経営の安定を損なう結果となりました。

不正会計と虚偽開示の泥沼

経営難から脱却し、上場を維持するために、同社は不正な手段に手を染めるようになります。2012年頃から、実際の業績を偽る虚偽開示や不適切な会計処理を繰り返しました。特に、東証マザーズ市場の上場廃止基準回避や、東証第二部への市場変更を実現するために、意図的に売上高などを過大に計上して公表していたことが後に明らかになります。

東京証券取引所は、度重なる不正行為や過去の改善指示に応じない姿勢を問題視し、同社に対して公表措置や改善報告書の提出を求めましたが、不正は止まりませんでした。

信頼失墜と上場廃止の連鎖

2015年11月の経営陣一新と商号変更後も、状況は改善しませんでした。臨時株主総会での議案否決により「上場会社の実質的な存続会社でない」可能性が指摘され、また時価総額の低下によっても上場廃止の猶予期間入りとなりました。

さらに、2016年には内部管理体制の不備や取引所への虚偽回答などが認められ、「特設注意市場銘柄」に指定されます。加えて、M&Aを通じた事業再編に関連して「合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期間入り銘柄」にも指定されるなど、複数の上場廃止基準に同時に抵触する深刻な事態となりました。買収した子会社に関する契約条件も同社にとって非常に厳しいものでした。

管理体制の崩壊と破産

東京証券取引所は、特設注意市場銘柄として同社に内部管理体制の抜本的な改善を求めましたが、経理担当者の不足や責任者の不在などから、改善計画はほとんど進捗しませんでした。虚偽の回答を繰り返すなど、改善への真摯な姿勢も見られませんでした。

改善の見込みがないと判断された結果、2017年4月には「監理銘柄（審査中）」に指定された後、同年4月28日に上場廃止が決定しました。これは、特設注意市場銘柄指定を受けた企業が、初回提出の内部管理体制確認書の審査で改善見込みなしと判断され、最短期間で上場廃止となった初めてのケースとなりました。

2017年5月29日に上場廃止となった後、事業継続が困難となった同社は、関連会社と共に東京地方裁判所へ破産手続開始の申立てを行い、同年6月7日に決定を受けました。

株式会社フード・プラネットの一連の破綻は、長期にわたる業績不振に加え、上場維持のための不正行為、コーポレート・ガバナンスの欠如、内部管理体制の崩壊といった、問題企業に共通する特徴を多く備えていました。同社は2019年4月17日に法人格が消滅し、その波乱に満ちた歴史に終止符が打たれました。

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