ブカレスト条約 (1812年)

ブカレスト条約の詳細

ブカレスト条約（ロシア語: Бухарестский мирный договор、トルコ語: Bükreş Antlaşması）は、1812年5月28日に署名され、同年7月5日に批准された、オスマン帝国とロシア帝国の間で結ばれた重要な和平条約です。この条約は、1806年から1812年まで続いた露土戦争に終止符を打つものでした。

条約の背景

露土戦争とは、オスマン帝国とロシア帝国の間で勃発した軍事的な対立を指します。この戦争は、帝国の拡大を目指すロシアと、オスマン帝国の勢力圏の防衛を試みる側との間で繰り広げられました。戦争の中で、ロシアはオスマン帝国の属国であるモルダヴィア公国の東側地域への影響力を強め、戦局を優位に展開していました。

主要な内容

ブカレスト条約の締結により、モルダヴィア公国の東半分にあたる、プルト川とドニエストル川の間に位置する約45,630平方キロメートルの土地、ベッサラビアがロシアに割譲されました。これにより、ロシアは黒海周辺での勢力を拡大しました。また、ロシアはドナウ川における通商権も取得し、経済面での利点も享受することとなりました。

セルビアでは当時、第一次セルビア蜂起が進行中でしたが、ブカレスト条約の成立により平和が訪れ、同地域に自治権が与えられることとなりました。これにより、セルビアの国民にとって重要な政治的な変化がもたらされました。

この条約は、ロシアの指導者であるミハイル・クトゥーゾフが署名し、さらにアレクサンドル1世がナポレオン1世のロシア侵攻直前に批准しました。こうして、条約は戦争の終結を促す重要な要素となりました。

南コーカサスにおける状況

条約締結時には、南コーカサスにおいて、ロシアとグルジアの連合軍が西グルジアの大部分を占領していましたが、この地域でもオスマン帝国はアハルカラキ、ポティ、アナパなどの重要な都市を維持しました。これにより、ロシアの戦略的な拡張とオスマンの存在感が交錯した複雑な状況が継続しました。

結論

ブカレスト条約は、ロシアとオスマン帝国の間で結ばれた歴史的な和平条約であり、その結果として両国間の領土や権利に大きな影響を与えました。ロシアの領土拡大、セルビアの自治権取得、さらには南コーカサスにおける地政学的な変動など、この条約には様々な側面が含まれています。これにより、地域の政治情勢は変化し、今後の歴史を形成する重要な要素となりました。

もう一度検索