ブタノール

ブタノール：多様な用途を持つアルコール

ブタノール(butanol)は、[化学式]]C4H10Oで表される炭素数4の一価アルコールの総称です。別名ブチルアルコール]とも呼ばれ、溶剤や[[燃料、医薬品、香料などの原料として幅広く利用されている重要な化合物です。

ブタノールの種類と性質

ブタノールには、構造異性体が4種類存在します。それぞれ、1-ブタノール(n-ブチルアルコール'>[アルコール]])、2-メチル-1-プロパノール]、2-ブタノール(sec-ブチル[アルコール]])、2-メチル-[[2-プロパノール]です。さらに、2-ブタノールは不斉炭素を持つため、(R)-2-ブタノールと(S)-2-ブタノールの2つの立体異性体が存在し、合計5種類が存在します。

これらの異性体は、沸点、水への溶解度、化学的性質など、様々な物性が異なります。例えば、1-ブタノールは沸点が117℃、水への溶解度が7.7%であるのに対し、2-メチル-2-プロパノールは沸点が82.5℃、水と任意の割合で混和します。また、それぞれの異性体は、第1級アルコール、第2級アルコール、第3級アルコールといった分類に属し、その分類によって反応性も異なります。

ブタノール類はすべて可燃性で、日本では消防法により危険物第4類（引火性液体）第2石油類に指定されています。人体への影響としては、他のアルコールと同様に、大量に摂取すると毒性を示すため、飲用には適しません。しかしながら、生体物質として少量は生物体内に存在します。

ブタノールの用途

ブタノール異性体それぞれが様々な用途に利用されています。

1-ブタノール: 有機合成における溶剤、塗料用シンナー、ブレーキ液、エステル原料として広く用いられます。特に酢酸とのエステル化により生成する酢酸ブチルは、有機溶剤として大量に消費されています。近年では、バイオマスから製造されたバイオブタノールとして、燃料用途への期待も高まっています。アメリカでは、ガソリンにブタノールを混合した燃料の利用が進んでいます。
2-メチル-1-プロパノール: エステル原料、溶剤として利用されます。
2-ブタノール: メチルエチルケトンの原料、医薬品原料として用いられます。
2-メチル-2-プロパノノール: 凍結防止剤、アンチノック剤、エステル原料などとして利用されています。

ブタノールの生産方法

ブタノールの生産方法は、大きく分けて石油化学プロセスとバイオマス発酵プロセスがあります。

石油化学プロセス: プロピレンを原料とするオキソ法、アセトアルデヒドを原料とするアルドール縮合法、レップ法などが用いられます。これらの方法は、1-ブタノールや2-メチル-1-プロパノールを主として生産します。また、オレフィンへの水の付加反応により、2-ブタノールや2-メチル-2-プロパノールも生産可能です。
バイオマス発酵プロセス: トウモロコシやサトウキビなどのバイオマスを発酵させることでブタノールを生産する技術が開発され、実用化が進んでいます。環境負荷の低減という観点から注目されています。デュポン社やBP社などがバイオブタノールの生産に力を入れています。

ブタノールの市場

ブタノールは、様々な工業製品の原料や溶剤として大量に消費されています。2013年の日本の国内生産量は39万トンを超え、その多くは国内で消費されています。

まとめ

ブタノールは、その構造異性体の多様性から、様々な用途に利用できる重要な化合物です。石油化学プロセスに加えて、バイオマス発酵による生産技術も発展しており、今後ますますその重要性が増していくと予想されます。

もう一度検索