ブチルヒドロキシアニソール

ブチルヒドロキシアニソール（BHA）についての詳細

ブチルヒドロキシアニソール、略してBHA（Butylated hydroxyanisole）は、主に酸化防止を目的とした脂溶性の有機化合物です。食品添加物としての用途だけでなく、化粧品にも使用されることもあります。そのため、多くの人々にとって身近な物質と言えるでしょう。

使用基準

日本におけるBHAの使用基準は厳格に定められており、主に以下の食品に使用されます。対象食品には、魚介類の冷凍製品及び油脂、バター、乾燥裏ごしいもが含まれます。具体的には、冷凍魚介類（生食用を除く）の浸漬液には1.0 g/kg、油脂等には0.20 g/kgという基準が設けられています。

また、ジブチルヒドロキシトルエンとの併用時には、合計濃度が設定された基準を超過しないようにする必要があります。

発がん性および抗がん性についての研究

1982年、名古屋市立大学の研究チームによる調査で、BHAのラットにおける発がん性が報告されました。この研究では、明確に発がん性が見られた用量（1322 mg/kg/日）と影響が見られなかった用量（54.8 mg/kg/日）が示され、発がん性非作用量（NOAEL）が設定されました。人間における1日摂取許容量（ADI）は慎重に考慮され、日本では0.5 mg/kg/日とされています。

さらにオランダの研究では、通常の食生活においてBHAの摂取量が腹部のがんリスクと関係ないことが確認されています。2011年には欧州食品安全委員会がBHAの基準を見直し、ADIを1.0 mg/kg/日に引き上げました。

興味深いことに、動物実験の結果、BHAは発がん性物質による病変の抑制効果を持つことが発見されています。1996年には、ラットでアフラトキシンB1による肝ガンの発生を抑える効果が報告され、また1986年には乳腺ガンにおける発がん抑制の効果も示されました。

国際的な分類

BHAは国際がん研究機関（IARC）によって、ヒトに対する発がん性が疑われる物質としてGroup 2Bに分類されています。これは、動物実験では安全性と発がん性に関するエビデンスがあるものの、ヒトに対しては十分なデータがないことを示しています。

まとめ

BHAは酸化防止剤として幅広く利用されていますが、その使用には基準が設けられているため、専門家の監督の下で適切に使用されることが重要です。また、科学的な研究によって、その安全性や影響についての理解が進んでいますが、消費者としての私たちは最新の情報に基づいて判断を行う必要があります。従って、BHAを含む製品を使用する際には、その情報をしっかりと把握し、安全に利用することが求められます。

もう一度検索