ブックスタート

ブックスタートとは

ブックスタートは、赤ちゃんとその保護者に対し、絵本と子育てに関する情報をまとめた「ブックスタート・パック」を配布する活動です。この活動は、絵本を介して親子の心ふれあう時間を持つきっかけを提供することを目的としています。2022年1月時点で、日本全国の約6割の自治体で実施されています。

活動の背景

この活動は、絵本コンサルタントのウェンディ・クーリング氏によって提唱されました。彼女は、絵本に触れる機会がないまま成長する子どもたちがいる現状を憂慮し、全ての子どもたちが絵本を読んでもらう幸せな体験をできるようにと考えました。ブックスタートは、単に絵本を読むだけでなく、絵本を通じて体験を共有すること（share books）を重視しています。

1992年、イギリスのバーミンガムで300世帯を対象とした実験的な取り組みが始まり、その後、イギリスではブックトラストという団体が中心となって活動が推進されました。

日本での展開

日本では、1999年に子どもの読書推進会議が研究を開始し、2000年に東京都杉並区と北海道恵庭市で先行実施されました。2001年からは、12の地域で本格的な実施がスタートしました。

現在、ブックスタートは各市区町村の公共事業として行われています。その特徴は以下の5点です。

1. 全ての赤ちゃんを対象: 地域に生まれたすべての赤ちゃんが対象です。
2. 絵本を手渡し: 絵本と子育て情報が入ったパックを、直接手渡します。
3. 親子のふれあいを支援: 絵本を通じて、親子の温かい触れ合いを促します。
4. 地域の人々が参加: 図書館員、保健師、行政職員、住民ボランティアなどが活動を支えます。
5. 継続的な活動: 各自治体で継続的に活動が行われています。

実施のタイミングや対象となる月齢は、自治体によって異なります。乳幼児健診の際に行われることが多いですが、乳児全戸訪問、育児教室、図書館などが会場となる場合もあります。特に、0歳児健診の場では、地域で生まれた赤ちゃんが集まるため、図書館員や保健師などがブックスタート・パックを配布しています。

ブックスタートは、赤ちゃんへの最初の贈り物として、絵本が持つ力と親子の温かい触れあいを大切にする活動です。

関連情報

読書週間
読み聞かせ
子どもの読書活動の推進に関する法律

外部リンク

NPOブックスタート
妊娠・子育て用語辞典『ブックスタート』 - コトバンク

参考文献

三輪巴『館長室から : 町立図書館長の日々』日本古書通信社、2006年11月、314頁。ISBN 4-88914-025-5。
* NPOブックスタート編『ブックスタートの20年 : 自治体と市民が赤ちゃんの幸せのためにつながり実現してきたこと』NPOブックスタート、2022年1月。ISBN 978-4-902077-13-1。

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