ブッシュ・メモリアル・スタジアム

ブッシュ・スタジアムIIは、ミズーリ州セントルイスにかつて存在した野球とアメリカンフットボールの兼用スタジアムでした（1996年からは野球専用）。MLBのセントルイス・カージナルスが閉場まで、NFLのセントルイス・カージナルス（現アリゾナ・カージナルス）が1987年まで、セントルイス・ラムズが1995年シーズン中に4試合のみ、この球場を本拠地として使用しました。

建設の背景

バドワイザーで知られるアンハイザー・ブッシュのCEO兼会長であり、MLBカージナルスのオーナーでもあったオーガスト・アンハイザー・ブッシュが、セントルイス市に新球場の建設を働きかけたことがきっかけです。ダウンタウンの再開発計画のランドマークを求めていた市の思惑と一致し、建設が決定しました。ブッシュは球場建設費のうち500万ドルを拠出しています。（アメリカ大統領のブッシュ親子とは関係ありません。）

球場の特徴

当時の最先端技術を導入し、アメフト兼用野球場として1階席を移動式にした円形型のデザインが採用されました。しかし、円形のスタジアムは後に「クッキーカッター」と揶揄され、ファンから敬遠されるようになりました。そのため、最上部の席を囲むようにアーチ状の屋根が設置され、セントルイスのシンボルであるゲートウェイ・アーチのデザインを取り入れることで、他の球場との差別化が図られました。

1970年には、フィールドも天然芝から人工芝に変更されました。

洪水被害と改修

1993年に発生した洪水により、球場も被害を受けました。その結果、改修工事が行われ、1階席は固定式となりました。1995年にラムズが4試合をここで戦った後、新球場のトランスワールド・ドーム（現ドーム・アット・アメリカズ・センター）に移転すると、野球専用球場となり、1996年シーズンからはフィールドに再び天然芝が導入されました。

閉場と解体

しかし、球場の老朽化が進んだため、2005年シーズンをもって閉場となりました。以前駐車場があった敷地には、新しいブッシュ・スタジアムの南側半分が既に完成しており、新球場の北側半分をシーズン前に完成させるため、同年11月7日には解体工事が開始され、現在は跡形もありません。

主要な出来事

数々の歴史的な瞬間が、この球場で刻まれました。

1966年5月12日、ブレーブス戦で開場。
1966年7月12日、オールスターゲーム開催（ナ 2x - 1 ア）。
1974年7月17日、ボブ・ギブソンが通算3000奪三振を達成。
1979年8月13日、ルー・ブロックが通算3000安打を達成。
1983年9月23日、スティーブ・カールトンが通算300勝を達成。
1998年9月8日、マーク・マグワイアがシーズン62本塁打のメジャー新記録を達成。その後も記録を伸ばし、9月27日のシーズン最終戦で69、70号を放った。
1999年8月5日、マーク・マグワイアが通算500本塁打を達成。
2004年6月20日、レッズのケン・グリフィー・ジュニアが通算500本塁打を達成。
ワールドシリーズ開催：1967年、1968年、1982年、1985年、1987年、2004年
2004年のワールドシリーズでは、レッドソックスが4勝0敗でカージナルスを下し、86年ぶりに世界一となり、「バンビーノの呪い」から解放されました。
* 2005年10月19日、アストロズとのリーグ優勝決定戦第6戦に1-5で敗れ、2勝4敗で敗退が決定。カージナルスの2005年シーズンが終了し、この球場のラストゲームとなりました。

ブッシュ・スタジアムIIは、セントルイスのスポーツファンにとって、忘れられない思い出が詰まった場所として、その名を歴史に刻んでいます。

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