ブライアン・キース

ブライアン・キース

1921年11月14日、アメリカ合衆国ニュージャージー州ベイヨンに生を受けたブライアン・キースは、俳優としてその名を広く知られています。父は名脇役として評価の高かったロバート・キース、母は舞台女優のヘレナ・シップマンという、芸能一家に生まれました。両親が巡業する生活を送っていたため、幼少期は各地を転々としながら育ちました。

俳優としてのキャリアは早くから始まり、わずか3歳だった1924年、父ロバートと共演したサイレント映画『Pied Piper Malone』で子役デビューを果たします。しかし、両親の離婚という出来事を経て、ニューヨーク州ロングアイランドで祖母の元で生活することになります。

父ロバートは1927年に女優ペグ・エントウィスルと再婚しますが、この結婚は短命に終わります。2年後の1929年には離婚に至った背景には、ロバートがペグに対して以前の離婚歴や息子ブライアンの存在を伏せていたことが一因だったと言われています。

俳優の道を志したブライアンは、ラジオや舞台で演技の経験を積みました。しかし、その歩みは第二次世界大戦の勃発によって一時中断されます。1941年にアメリカ海兵隊に入隊し、戦争に服務することになりました。

終戦後、軍を退役したブライアンは、本格的に俳優活動を再開します。1946年にはブロードウェイの舞台に立ち、俳優としての地位を確立していきます。そして1952年、コロンビア ピクチャーズと契約を結んだことを機に、活動の場を映画やテレビドラマへと広げました。

特に大きな成功を収めたのは、1966年から1971年までCBSで放送されたシチュエーション・コメディ『ニューヨーク・パパ（Family Affair）』でした。この番組は瞬く間に人気を博し、ブライアンは主演としてプライムタイム・エミー賞のコメディ部門主演男優賞に3度にわたりノミネートされるほどの評価を得ました。この作品は日本でも放映され、彼の名を知らしめるきっかけの一つとなりました。その後も、1972年から1974年にかけてはNBCで自身の名を冠したシチュエーション・コメディ『The Brian Keith Show』が制作・放送されています。

彼の俳優としての特徴の一つとして、ロシア語が堪能であったことが挙げられます。この語学力が活かされ、テレビシリーズ『第三次世界大戦（World War III）』や映画『メテオ（Meteor）』ではロシア人の役を演じる機会を得ました。

しかし、晩年のブライアンには悲劇が訪れます。1997年4月に娘のデイジーが自ら命を絶ったことに加え、彼自身も肺気腫や肺癌といった重い病を抱えていました。これらの苦悩が重なり、同年6月24日、彼は拳銃によって自らの生涯を閉じました。75歳でした。

その死から時を経た2008年、ブライアン・キースの長年の功績が改めて称えられます。ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのテレビ部門に彼の功績を称える星が設置され、その名が永遠に刻まれることとなりました。

主な出演作品

『ファミリー・アフェア』
『メテオ』
『第三次世界大戦』
『Pied Piper Malone』

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