ブラウン・エール

ブラウン・エールとは

ブラウン・エールは、茶色または黒っぽい麦芽を使用して醸造されるエールのスタイルの一つです。その起源は17世紀後半のロンドンの醸造所に遡り、マイルド・エールと同様に、当時から「ブラウン・エール」という言葉が使われていました。21世紀に入ると、ブラウン・エールはイギリス、北アメリカ、ベルギーなど、様々な地域で醸造されるようになりました。

ベルギーで醸造されるものは「オード・ブライン」と呼ばれることもあります。この記事では、特にロンドンを起源とするブラウン・エールについて詳しく解説します。

ブラウン・エールと一口に言っても、そのスタイルは多岐にわたります。甘味が強くアルコール度数が低いもの、適度な苦味と琥珀色を持つもの、麦芽とホップの風味が調和したものなど、様々なバリエーションが存在します。

歴史

液色が茶色のビール自体は、何百年も前から存在していました。「ブラウン・エール」という言葉が一般的に使われるようになったのは、瓶詰ビールが商業的に普及し始めた20世紀初頭のイギリスにおいてです。

北アメリカにおけるブラウン・エールは、北イングランドのビールに触発されたアメリカの自家醸造家たちによって広められました。また、イギリスのバートンで生まれたペールエールに対抗するために、ニューカッスル・アポン・タインで独自のブラウン・エールが誕生しました。ニューカッスルはホップの産地から遠かったため、ホップの使用量を抑え、その結果、モルト由来のカラメル香が際立つビールとなったのです。

詳細

イギリスのブラウン・エールには、甘味が強くアルコール度数の低いものから、ニューカッスル・ブラウン・エールやダブル・マキシム、サミュエル・スミスのナット・ブラウン・エールのような、より力強い北東部のスタイルまで存在します。

液色は濃い琥珀色から茶色まで幅広く、キャラメルやチョコレートのような風味は、焙煎された麦芽に由来します。イングランド北東部のブラウン・エールは、一般的にモルティでナッツのような風味が特徴です。一方、イギリス南部のブラウン・エールは、アルコール度数が低めで色が濃く、甘味が強い傾向があります。

北アメリカのブラウン・エールは、アメリカ産のホップを使用しているため、柑橘系のニュアンスやアロマがあり、苦味が強く、ミディアムボディで、イギリスのものに比べてドライなことが多いです。エステル香は控えめで、低温で飲むとわずかに感じられることがあります。

北アメリカの代表的なブラウン・エールとしては、以下の銘柄が挙げられます。

Pete's Wicked Ale
Smuttynose Old Brown Dog Ale
Abita Turbo Dog
Duck-Rabbit Brown Ale
Brooklyn Brown Ale

ビアスタイル・ガイドラインでの定義

ビアスタイル・ガイドライン1804では、以下の2種類のブラウン・エールが定義されています。

イングリッシュスタイル・ブラウンエール

色合い: カッパーから濃い焦茶色
香り: エステル香は弱め、ビスケットやトーストのようなローストしたモルト香
ホップ: アロマ、フレーバー、苦味は非常に弱い
その他: 残糖レベルはドライから甘口まで幅広く、ボディはミディアム
アルコール度数: 4.1%から5.9%

アメリカンスタイル・ブラウンエール

色合い: ディープカッパーから非常に濃いブラウン
香り: エステル香は弱め、カラメルやチョコレートのようなローストしたモルト香
ホップ: アロマとフレーバーは弱めから中程度、苦味は中程度から強い
その他: 残糖レベルはドライから甘口まで幅広く、ボディはミディアム
アルコール度数: 4.1%から6.3%

関連項目

マイルド・エール
オード・ブライン
ポーター
* スタウト

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