ブラジリア連邦直轄区

ブラジル連邦区：首都ブラジリアを抱える特別な行政区

ブラジル連邦区（Distrito Federal）は、ブラジルの首都であるブラジリアを内包する、連邦政府直轄の行政区です。ブラジルの5つの地域区分では中西部に位置し、ゴイアス州に囲まれた場所にあります。南東部ではミナスジェライス州とわずかに接しています。

歴史：首都遷都と連邦区の誕生

1956年、ジュセリーノ・クビチェック大統領の主導により首都遷都計画が始まり、3年10ヶ月の歳月をかけてブラジリアが建設されました。1960年4月21日、ブラジル政府は首都をリオデジャネイロからブラジリアへ移転しました。遷都以前の連邦直轄区はリオデジャネイロ市を指しており、その起源は1889年に遡ります。遷都に伴い、リオデジャネイロ市は連邦直轄区としての地位を失い、グアナバラ州と改称されました。その後、1975年にリオデジャネイロ州に組み込まれ、リオデジャネイロ市として現在に至ります。1962年にはブラジリア大学が設立されました。

ブラジリア連邦直轄区は、建設当初ほぼ無人地帯であったため、都市建設労働者（主にブラジル北東部出身の貧困層）や連邦政府官僚、都市生活を支える従業員などが移り住みました。特に都市建設に携わった労働者は“Candango”と呼ばれています。

行政区画：主要都市

連邦区には、ブラジリアの他に以下の都市が含まれます。

セイランジア
タグァチンガ
サマンバヤ
アグァス・クラーラス
ガマ
ソブラジーニョ
* プラナウチーナ

政治：国政と地方自治

国政においては、連邦区から国民会議下院に8議席、上院に3議席が割り当てられています。大統領選挙では左派政党が優勢でしたが、近年は流動的な傾向にあります。地方自治においては、「連邦直轄区立法議院」と連邦区知事が設けられ、ブラジリアを含む連邦区内の自治を担っています。

抱える問題：都市開発の不均衡

ブラジリアは100万人の人口を支える都市として設計されましたが、都市機能の複雑さから発展は緩やかです。ブラジリア市内には連邦政府職員や大使館員など比較的裕福な層が居住し、その他の従業員は近隣の「衛星都市」に住むことを余儀なくされています。ルシオ・コスタが設計したブラジリアは発展を遂げている一方で、衛星都市の開発は不十分であり、連邦区内での格差が問題となっています。衛星都市とのバランスを欠いた建設計画は、ブラジリアが計画都市として失敗作と評される一因となっており、この問題は建設から40年以上経った現在も解消されていません。

旗：平和とブラジルの象徴

連邦区の旗は、白地の中央に黄色と緑の配色が用いられています。白は平和を象徴し、黄色と緑はブラジル国旗に基づいています。中央には黄色で描かれた4本の矢があり、ブラジルの先住民族を表しています。矢が東西南北を指すことで、権力の中枢（連邦直轄区）であることを暗示し、南十字星を意味しています。旗のデザインは詩人のギリェルメ・ヂ・アルメイダによって考案され、1969年4月25日から使用されています。連邦区と同様に、旗も他の州旗と同格の扱いを受けます。

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