ブラックチェンバー

『ブラックチェンバー』 は、1969年4月3日から同年6月26日にかけて、フジテレビ系列で放映されたテレビドラマです。全13話からなるモノクロ作品で、東映が制作を手がけました。

企画背景と内容

本作は、生島治郎の小説『影が動く』をはじめとする「影シリーズ」を原作として映像化されました。当時の東映は、『銭形平次』や『旅がらすくれないお仙』といった高視聴率のヒット作を連発しており、その勢いのまま「異色のハードボイルド・アクション」として鳴り物入りでスタートさせました。

物語の中心となるのは、警察官としての籍を抹消され、過酷な訓練を経て結成された秘密チーム「鏡」と「轟」の二人です。彼らは警察手帳や手錠、さらには警察組織の権限や後ろ盾を一切持たず、自分たちの能力だけを頼りに事件解決に挑みます。時には法の枠を超えた行動も辞さない、アウトロー的な捜査スタイルが特徴でした。また、劇中では彼らのプライベートな生活が描かれることはほとんどなく、任務遂行に徹する姿が浮き彫りにされました。

評価と低迷

鳴り物入りで始まった本作でしたが、視聴率は期待外れに終わります。第1話の視聴率は6.8%、第2話は6.7%と低迷し、その後も7〜8%台から抜け出せない苦戦が続きました。フジテレビ側からは、制作元の東映に対し「ハードボイルド＝単なる殴り合いと思っているのではないか」「画面の雰囲気が洗練されておらず、一般的な視聴者が求める現代的なカッコ良さに欠ける」といった厳しい批判が寄せられました。

テコ入れと早期終了

視聴率不振を受けて、番組は急遽テコ入れを受けることになります。主演の男性陣、中山仁と内田良平に加え、女優を配して「お色気」要素を盛り込むことで視聴率回復を図りました。しかし、この施策も功を奏することなく、状況は好転しませんでした。結果として、スポンサーからの要望もあり、当初の予定よりも早く全13話で打ち切りとなり、次の番組へと方向転換することになりました。

本作の終了後、後番組として『特命捜査室』がスタートしました。この作品は『ブラックチェンバー』の続編的な位置づけであり、中山仁、千葉治郎（現・矢吹二朗）、賀川雪絵（現・賀川ゆき絵）といった主要キャストが、前作と同じ役名で引き続き出演しています。

現状とソフト化

『ブラックチェンバー』は、現在まで全話が収録されたソフトは発売されていません。過去に『東映TV主題歌大全集1 現代劇篇』というソフトに、オープニング映像と第2話のエンディング部分のみが収録され、LDやVHSで販売されたことがあるのみです。DVD化は実現していません。

また、東映チャンネルでもこれまで第1話さえ放映された記録がなく、番組のネガフィルムやポジフィルムが現在どこまで現存しているのか、その状況は不明です。そのため、全13話の本編をまとめて視聴することは非常に困難な作品となっています。

放送データ・スタッフ・キャスト

放送期間: 1969年4月3日〜1969年6月26日
放送時間: 毎週木曜日 22:00〜22:56
話数: 全13話
形式: モノクロ 16mmフィルム

主なスタッフ
原作: 生島治郎
音楽: 八木正生
擬斗: 日尾孝司
制作: フジテレビ、東映

主なキャスト
鏡俊太郎: 中山仁
轟啓介: 内田良平
桂秀樹本部長: 河津清三郎
英二: 千葉治郎
南恭子: 賀川雪絵
ナレーター: 矢島正明

主題歌

エンディング主題歌: 『影のバラード』
歌: 中山仁
作詞: 藤原純
作曲: 八木正生

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