旅がらすくれないお仙

『旅がらすくれないお仙』の魅力

『旅がらすくれないお仙』は、1968年10月から1969年9月までNETテレビ（現・テレビ朝日）で放送された連続テレビ時代劇です。この番組は全52話から成り、モノクロ映像で制作されました。特に、女性二人が主役となることで注目を集め、当時の視聴者に強いインパクトを与えました。

番組の概要

この作品は、女剣劇を得意とする松山容子演じる小太刀の名手お仙と、グラマーで奔放な女スリお銀（大信田礼子）が、様々なトラブルに巻き込まれながら活躍する姿を描いています。彼女たちのバディムービー的な要素が新鮮で、また担当したスタッフは、脚本に森田新、監督に荒井岱志などが名を連ね、緊張感のあるアクションとストーリー展開を実現しました。

この番組は、女性が主人公という点が当時としては珍しかったため、視聴者の人気を集めました。放送開始早々、初回視聴率22%を記録し、その後も安定して20%台を保ちました。特に、上映後2ヶ月経った時には28%という高視聴率を獲得し、周囲の話題をさらいました。多くの新番組がこの時期に登場したものの、この作品が際立っていたため、他の番組との比較でも常に優位に立っていました。

エンターテインメントとの融合

1970年代初頭、日本のテレビ界は新しい方向性を模索していました。『旅がらすくれないお仙』はその一環として、アクションやお色気を取り入れた新しいスタイルのドラマを見せてくれました。同じ時期、他の番組でもお色気を強調する傾向が見られた中で、本作は大胆な表現で多くの視聴者を引き込む役割を果たしました。特に大信田礼子のパフォーマンスは、視聴者からの注目を浴び、彼女自身のキャリアに大きな影響を与えました。

番組の延長とその後

当初は1クールの予定でしたが、視聴率の良さから1969年まで延長され、NHK大河ドラマ『天と地』とも互角に渡り合いました。しかし、1970年の春、人気に陰りが見えると、制作側は様々な対策を講じました。大信田礼子は歌手としての活動も考えていたため、降板の意向を発表したが、協議の末に番組続投が決まりました。とはいえ、視聴率が低下し始め、結局松山容子の降板が決まった際に番組は模様替えし、新たな作品へと移行しました。

本作は視聴者に愛され続けた結果、時代劇の枠を越え、後の女性アクションドラマの先駆けとして評価されました。現在も、当時の魅力が再評価されることが多く、教材としても存在意義を持っています。これにより、後の作品へと受け継がれる女性の力強い姿が根付いていくこととなります。

影響と評価

『旅がらすくれないお仙』はその後のドラマ制作においても多くの影響を与え、女性主演のアクションドラマが今や一般的なジャンルとなる礎を築きました。次なる作品である『緋剣流れ星お蘭』も、先代の成功を引き継ぎ、さらなる挑戦を示すものでした。時に「創造的後退」と評された時代劇ですが、創造性をもって挑戦し続けた本作は、今後も永遠の名作として語り継がれていくでしょう。

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