ブラック・ウィドーズ・オブ・リヴァプール

キャサリン・フラナガンとマーガレット・ヒギンス

キャサリン・フラナガンとマーガレット・ヒギンスは、1829年と1843年にそれぞれ生まれたアイルランドの姉妹であり、彼女たちの名前はリヴァプールで発生した一連の毒殺事件に深く結びついています。1884年3月3日、彼女たちは毒を用いて一人を殺害した罪で有罪となり、絞首刑にされました。姉妹は、被害者が亡くなるたびに生命保険の一種である埋葬保険組合から支払いを受け取り、保険金殺人の共謀者とされています。

下宿屋での相次ぐ死

彼女たちが1880年代初頭に経営していた下宿屋は、スカーヴィング・ストリート5番地にありました。ここではキャサリンの息子ジョンを含む数家族が暮らしていました。しかし、彼女たちの周囲では不審な死が相次ぎました。具体的には、ジョンが突然死し、キャサリンは保険金として71ポンドを手にしました。

1882年にはマーガレットがトーマス・ヒギンスと結婚しましたが、結婚後すぐにトーマスの娘メアリーが亡くなり、マーガレットが又もや埋葬保険の支払いを受けました。このように、姉妹の下宿屋では病気や突然死が相次ぎ、近隣住民の間に不安が広がりました。1883年にはマーガレット・ジェニングズが死亡し、再びキャサリンが保険金を受け取る事態になりました。

そこで、二人はラティマー・ストリートへ移った後、トーマス・ヒギンスも病に倒れ、赤痢と診断されたため、再び医師の訪問がありました。トーマスは診断から2日後に謎の死を迎え、彼の未亡人であるマーガレットは生前に加入していた5つの異なる埋葬保険から約100ポンドを手にしていました。

捜査の始まり

トーマスの急死を受け、彼の兄弟パトリックは不審に思い、当局は検死を行った結果、彼の遺体からヒ素が検出されました。そこで、キャサリンは検死が行われるとの噂を耳にし、現場から逃げました。その後、マーガレットは逮捕され、キャサリンもついに捕らえられました。

ジョンの遺体の掘り起こし

トーマスの死因が判明するに連れて、過去に姉妹の下宿屋で亡くなった他の若者たちの遺体の掘り起こしが決定されました。ジョンや他の二名の遺体からもヒ素の痕跡が見つかり、調査官たちは最初に考えていた殺鼠剤から得たヒ素ではなく、他の手段で手に入れたと推測しました。利便性の高いハエ取り紙からヒ素が検出され、彼女たちが実際にどのように毒を調達したのかが明らかになっていきました。

事件の余波

キャサリンは、自身たちだけが犯人ではないと主張し、別の女性たちの名前が書かれたリストを提出しました。このリストには、他の共謀者とされる女性たちの名前が含まれており、まさに彼女たちが保険詐欺に関与していた印象を与えました。しかし、他の被疑者たちが証明されたわけではなく、最終的にフラナガン姉妹のみがトーマスの死で起訴されました。

裁判とその後

1884年の法廷では、検察が姉妹をトーマスだけでなく他の死亡事件にも関与していると主張しました。キャサリンは共謀者の証言を提供することを希望しましたが、却下されました。彼女たちには有罪判決が下り、3月3日に絞首刑にされ、当時1千人以上の観衆がその様子を見守っていました。

メディアでの影響

この事件はメディアで大きな注目を集め、フラナガン姉妹はルクレツィア・ボルジアに例えられることになりました。姉妹が毒殺に関与し、共謀していたのではないかという点が強調され、彼女たちは「リヴァプールの黒後家」と呼ばれるようになりました。処刑後には、彼女たちの蝋人形がマダム・タッソーに展示され、時代を超えて多くの関心を集め続けています。

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