ブラック・プリンス (装甲巡洋艦)

ブラック・プリンス (HMS Black Prince)

ブラック・プリンスは、1904年に進水したイギリス海軍の装甲巡洋艦で、デューク・オブ・エジンバラ級の一艦です。この艦船は、テムズ鉄工造船所のブラックウォールで1903年6月3日に起工され、1904年11月8日に進水、そして1906年3月17日に竣工を迎えました。

艦歴を遡ると、ブラック・プリンスはその後の数年間、重要な艦隊に配属されました。最初は1907年まで第2巡洋艦戦隊に所属し、続いて第1巡洋艦戦隊（1907年から1908年）、大西洋艦隊の第5巡洋艦戦隊（1908年から1912年）、そして第3巡洋艦戦隊（1912年から1913年）へと編成が変わりました。

第一次世界大戦勃発時、ブラック・プリンスは地中海艦隊の第1巡洋艦戦隊に所属していました。この艦は、ドイツの巡洋戦艦ゲーベンおよび巡洋艦ブレスラウの追跡任務に参加し、その後、兵員輸送船団の護衛のために紅海へ派遣されました。1914年8月14日、ブラック・プリンスはスエズを出港し、アデンに向けた航海を開始。この航海中に、彼女はドイツ商船を拿捕するという任務を果たしました。

1914年11月には、ジブラルタルで英仏連合艦隊と合流し、アフリカ沖でのドイツ艦艇捜索に従事することとなります。しかし、その後コロネル沖海戦の生存者からの情報を受けて、ドイツ東洋艦隊の動向が明らかになると、その捜索命令は11月19日に取り消されました。ブラック・プリンスは1914年12月にグランドフリートに加わり、ロバート・アーバスノット少将指揮下の第1巡洋艦戦隊に所属しました。

運命の2016年5月31日、ユトランド沖海戦では、ブラック・プリンスは不運にも撃沈されてしまいました。この海戦において、艦はイギリス艦隊から離れ、ドイツ側の戦列に接近してしまいました。艦長のボーナムは誤りに気づき反転を命じましたが、時既に遅く、ドイツ戦艦テューリンゲンが探照灯でブラック・プリンスを捉え、その後他のドイツ艦艇も攻撃に加わり、わずか15分で艦は沈没しました。

その時、艦隊から離れていたため、イギリス側の艦がどのようにブラック・プリンスが沈む様子を目撃したかの情報はありませんでした。さらに、8時48分には潜水艦を発見したとの報告もあったため、イギリス側では撃沈の原因が潜水艦なのか水上艦なのか明らかではありませんでした。

ブラック・プリンスの悲劇的な運命は、当時の艦船の運用や戦略上の未熟さを象徴するものであり、彼女の役割や行動は多くの海軍史家によって今なお語り継がれています。

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