ブラド・タネスキ

ブラド・タネスキ：ジャーナリストであり連続殺人犯

ブラド・タネスキ（Vlado Taneski、1952年 - 2008年6月23日）は、北マケドニア（旧マケドニア共和国）の犯罪ジャーナリストであり、連続殺人犯という二つの顔を持っていました。

逮捕の経緯

20年以上ジャーナリストとして活動していたタネスキは、2008年6月、故郷のキチェヴォで逮捕されました。容疑は、かつて彼自身が記事にした2人の女性を殺害したというものでした。さらに、逮捕時彼は別の女性の死亡事件も取材しており、これらの記事には通常では知りえない情報が含まれていたため、警察の疑いを招きました。

DNA鑑定の結果、タネスキがこれらの殺人事件に関与していることが判明し、逮捕・収監に至りました。しかし、収監された翌日、彼は監房内で自殺を遂げました。

人物像

タネスキは長年ジャーナリストとして活動し、スコピエを拠点とするノヴァ・マケドニアとウトリンスキ・ヴェスニクに記事を寄稿していました。私生活では、妻と別居状態にあり、近年では母親との関係も悪化していました。また、彼の父親は1990年に自殺しています。

殺人事件と自殺

タネスキが捜査線上に浮上したのは、彼がキチェヴォで2005年から2008年にかけて発生した3件の殺人事件に関する記事を執筆したことがきっかけでした。被害者はいずれも、十分な教育を受けておらず、清掃員として生計を立てていた貧しい女性たちでした。タネスキの母親も似たような境遇にあり、被害者たちとも面識があったとされています。警察は、2003年に消息を絶った78歳の女性についても、彼に事情を聞こうと考えていました。

タネスキの記事には、犯人しか知りえない情報が含まれていました。例えば、「被害者は電話コードで縛られており、コードは現場に残されていた」といった情報は、警察が発表していなかった情報でした。他のマケドニアのメディアでは報じられていない情報も含まれていました。

遺体に付着していた精液のDNAがタネスキのものと一致したため、警察は2008年6月22日に彼を逮捕しました。彼は2人の女性殺害で起訴され、警察はさらに第3級謀殺で起訴する準備を進めていました。しかし、翌日、タネスキはテトヴォの監房で、水の入った手桶に頭を突っ込んだ状態で発見され、警察は自殺と断定しました。

警察の広報担当者は、他の収容者や看守が気づかなかった理由は不明だとしつつ、「まるでホラー映画のような結末だ」と述べています。

タネスキの事件は、ジャーナリストという立場を利用した犯行であったこと、そして自殺という衝撃的な結末を迎えたことで、多くの人々に衝撃を与えました。

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