ブラン (オービタ)

ブラン宇宙往還機

ブラン（露: Буран）は、ソ連の様々な設計局によって開発された宇宙船及びそれを基にした打ち上げ計画を指します。このプロジェクトは「ブラン計画」とも呼ばれ、その名はロシア語で「猛吹雪」を意味しています。ブランは、初代オービタとしての地位を持ちながら、当時アメリカのスペースシャトルに匹敵する存在として注目されていました。

ソ連版スペースシャトル

ブランは公に「ソ連版スペースシャトル」と称されていましたが、実際には初飛行がスペースシャトルよりも大幅に遅れました。しかし、ソ連は1960年代からすでに類似の形状を持つ宇宙往還機の構想を持っており、その模型はスペースシャトルにも似ていました。ユーリイ・ガガーリンをはじめとした宇宙飛行士たちがその宇宙船模型と共に写された写真が、初飛行の数十年前に撮影されています。この構想は、TsAGIや各設計局、ソ連空軍などによる研究の結果生まれたものです。

ブランとスペースシャトルの違い

ブランとスペースシャトルは、形状こそ似ているものの、その打ち上げシステムは根本的に異なります。スペースシャトルは、高性能なメインエンジンを持ち、外部燃料タンクから燃料を供給されるシステムですが、ブランはエネルギアという大型ロケットに依存しており、自身ではほとんど推力を発生することはありません。ブランの後部には逆噴射ロケットが搭載されていますが、これはメインエンジンではありません。

この設計により、ブランは機体の自重を軽減することができ、積載量も増加しました。また、着陸時の安全性も高まりました。一方で、スペースシャトルのようなメインエンジンがないため、緊急時にエネルギアから切り離すことで、自力で滑走路に戻る能力を持つような設計がされていました。ここには搭乗者全員のための射出座席が搭載されており、緊急時の安全性にも配慮されていました。

計画の進展とその後

ブランの発射は1988年11月15日、バイコヌール宇宙基地から行われました。この無人飛行は206分間にわたり、地球を2周し、無事に自動着陸を果たしました。この成功は期待された有人飛行へ向けた第一歩とされていましたが、1991年のソ連崩壊により計画が頓挫しました。ブランの1号機はその後、バイコヌールに保管されたが、2002年の暴風によって損失し、作業員8人の命が奪われる事故も発生しました。

さらに、ブラン計画は他のブラン型派生機の製造も進行中でしたが、すべて中止となりました。1機はバイコヌールの博物館に展示されましたが、他の2機は格納庫で放置されています。

ブランの試験機と派生型

「OK-GLI」は、ブランの試験機として1984年に登場し、後にドイツのシュパイアー技術博物館で常設展示されています。この試験機は飛行テスト専用で、高速滑空による訓練も行われました。

ブランには多くのフルスケールモデルとミニスケールモデルが製造されています。計画の中で、マイナーチェンジが行われながらも派生型が開発され、MAKS-OSという小型宇宙往還機や、OS-120など様々な計画が進められました。

結論

ブランは、ソ連の宇宙開発史において重要な存在であり、その設計や技術は、現在の宇宙探査に影響を与え続けています。未完に終わったこの計画の残影は、今もなお多くの人々の関心を惹きつけています。

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