ブリストル ブラバゾン

ブリストル ブラバゾン（Bristol Type 167 Brabazon）

ブリストル ブラバゾンはイギリスのブリストル飛行機が開発した大型旅客機で、その全幅は70.1メートルに達し、ボーイング747を超えるサイズを誇ります。しかし残念ながら、航空会社からの発注が得られなかったため、この計画は試作の段階にとどまりました。

計画の背景

ブリストル社は1937年の早い段階から大型爆撃機の研究を進めており、1942年には超重爆撃機の開発計画に応募するなど、意欲的な取り組みを行っていました。最初は、アメリカのコンヴェア B-36に類似した設計を目指していましたが、イギリス空軍がこのプロジェクトを中止したため、事態は展開を見せます。1943年に提出されたブラバゾン委員会の「ブラバゾン報告書」では、戦後の民間航空機の需要が検討され、その中で「大西洋を横断できる大型旅客機」の必要性が議論されました。この報告書を踏まえ、ブリストル社は新たな大型旅客機の設計を行い、マイルズ・エアクラフトと競争を繰り広げましたが、過去の実績を考慮されてブリストル社が選ばれました。最終的に国から2機の試作契約を受けることとなりました。

開発の詳細

「タイプ167」と名づけられた設計案は、二重反転式プロペラを搭載した4基のレシプロエンジンを持つ重連複合4軸8発機という構造を備えていました。機体の全長は約50メートルで、翼幅は70メートルと、イギリスで開発された航空機の中でも過去最大級と言える大きさを示しています。設計者の予測によれば、大西洋を横断する旅客機は上流階級向けであるとされ、機内には広々とした豪華な客室が用意され、60人から80人程度の旅客を収容することができるよう設計されていました。

このブラバゾンという名称は、計画の根源となった報告書およびそれを作成した委員会の長の名前に由来します。試作機の製作は1945年から始まり、この巨大な航空機を組み立てるために工場を拡張し、滑走路の延長にも多額の予算が投入されました。1949年9月4日、ブラバゾンの初飛行が実現しましたが、複雑な駆動装置に不具合が生じるなど、いくつかの課題も抱えていました。それでも、所定の性能を満たすことには成功しました。しかし、「空飛ぶ豪華客船」としての役割が妨げられ、航空会社の関心を引くことができませんでした。最終的には、発注を行う航空会社は現れず、試作機と未完成の2号機は1953年にスクラップとして処分されました。

開発の影響

この開発計画は、予想以上の巨額の予算を消費した結果、結局は大きな無駄遣いとなりましたが、計画過程で行われたインフラ整備は、その後のイギリスの航空機開発に良い影響を及ぼしたと見なされています。そのため、このプロジェクトは短期的な成功を収めなかったものの、航空産業全体にとって長期的な意味を持っていたとも解釈できるでしょう。

要目

• - 全長: 53.95 m
• - 翼幅: 70.1 m
• - 全高: 15.24 m
• - 翼面積: 403.95 m²
• - 空虚重量: 65,816 kg
• - 最大離陸重量: 131,542 kg
• - エンジン: ブリストル セントーラス 8基
• - 出力: 2,650 hp
• - 最高速度: 483 km/h
• - 最大巡航速度: 402 km/h
• - 航続距離: 8,850 km
• - 最大運用高度: 7,620 m
• - 座席数: 50-80席

このように、ブリストル ブラバゾンは飛行機の歴史の一部であり、航空機がどのように進化してきたのかを示す重要な例となっています。

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