ブリッグ (船)

ブリッグ（Brig）について

ブリッグとは、2本のマストを備え、そのうちの1つ、通常は前のマストには横帆が張られた帆船の形式を指します。この帆装形式は、ブリガンティンと似ている部分もあるものの、現代ではマストの特性に基づき分類が行われています。具体的には、超マストの全てに横帆が張られている場合が航海中に用いられる「シップ」と呼ばれ、ブリッグは前マストに横帆、後ろマストには必ずしも縦帆が張られません。

用途と歴史

ブリッグは、18世紀初頭から19世紀にかけて、軍船や商船として非常に人気がありました。その人気の理由は、速さと操帆の容易さにあります。この帆装形式では、2本のマストがあり、後方のマストが高く設置され、フォアマストとメインマストの2つで構成されています。メインマストの後方には操作性を向上させるため、スパンカーと呼ばれる小さな帆が設置されることが一般的です。そのため、帆の数が多く、効率的な操帆が可能となりました。

ブリッグ型の船の大きさは、全長75フィート（約25メートル）から165フィート（約50メートル）に及び、通常の重量は約480トンでした。初期の船体は主に木造でしたが、時代の経過とともに鉄や鋼を用いるようになり、より堅牢な構造が求められました。ただし、横帆を多く持つ運用形態であったため、必然的に多くの船員を必要としました。また、風上に進む際の効率が悪かったため、19世紀以降、蒸気船の台頭に伴いその使用頻度は減少していくこととなりました。

名称の由来

「ブリッグ」という用語自体は、実際には「ブリガンティン」という言葉の略称として用いられた背景があります。ブリッグはブリガンティンを起源とする帆装形式に分類されますが、17世紀までは両者の定義があいまいであり、イギリス海軍で用いられていたブリガンティンもまた、2本のマストに横帆を持つ形態が一般的でした。17世紀末までに、これらの用語は現在のような区分がなされるようになりました。オックスフォード英語辞典の1720年版及び1854年版においても、ブリッグとブリガンティンの区別が明示されていました。

まとめ

ブリッグはその特長的な帆装と優れた操縦性により、昔から多くの用途に使用されてきましたが、技術の進化と共にその役割は変化しました。現代においては、ブリッグ型の船はレジャー用や歴史的再現などに見ることができる一方で、かつての航海の重要な一端を担ったことを忘れてはならないでしょう。

関連する帆装形式としては、マストが3本以上で、その全てに横帆が張られる「シップ」、ブリッグ型に加えて船尾に小さな縦帆を持つ「スノー」、前マストに横帆、後マストに縦帆を持つ「ブリガンティン」、両方に縦帆を持つ「スクーナー」などがあります。

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