ブリッジ (ネットワーク機器)

ブリッジ：ネットワークを繋ぐ中継者

コンピュータネットワークにおいて、ブリッジは複数のローカルエリアネットワーク(LAN)を接続する重要な役割を担うネットワーク機器です。OSI参照モデルにおけるデータリンク層（レイヤ2）で動作し、MACアドレスを用いてフレームを転送します。ルーターのようにネットワーク層（レイヤ3）のプロトコルを意識する必要がないため、高速なデータ転送が可能です。

ブリッジの動作原理

ブリッジは、接続されたLAN間の通信を円滑に行うために、以下のステップで動作します。

1. MACアドレスの学習: ホストがネットワークに接続されると、ブリッジはブロードキャストフレームを受信します。このフレームから送信元のMACアドレスと受信ポートを関連付けて、内部テーブルに記録します。このテーブルをMACアドレステーブルと呼び、ブリッジの転送決定に利用されます。

2. フレームの転送: ホスト間でデータが送受信されると、ブリッジはフレームの宛先MACアドレスを調べます。
ユニキャストフレーム: 宛先MACアドレスが特定されている場合、ブリッジはMACアドレステーブルを参照し、宛先MACアドレスに対応するポートにフレームを転送します。宛先MACアドレスがテーブルにない場合は、全てのポートにフレームを転送する（フラッディング）ことで、宛先ホストを特定しようとします。
ブロードキャストフレーム: 宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスの場合、ブリッジは全てのポートにフレームを転送します。
* マルチキャストフレーム: 宛先MACアドレスがマルチキャストアドレスの場合、ブリッジはマルチキャストアドレスに対応するポートにフレームを転送します。

3. フラッディングとMACアドレステーブルの更新: 宛先MACアドレスが不明な場合に行われるフラッディングは、ネットワーク全体の負荷を増大させる可能性があります。そのため、ブリッジはフラッディングによって受信したフレームから、宛先MACアドレスとそのポート情報を学習し、MACアドレステーブルを更新することで効率的な転送を行います。

ブリッジとスイッチ、ルーターとの違い

ブリッジは、スイッチングハブと機能的に似ており、どちらもデータリンク層で動作します。しかし、初期のブリッジはソフトウェアでMACアドレステーブルを管理していたのに対し、スイッチはハードウェアで高速に処理を行う点が大きく異なります。現代のネットワークでは、スイッチがブリッジの役割を代替しています。

一方、ルーターはネットワーク層（レイヤ3）で動作し、IPアドレスを用いてパケット転送を行います。ブリッジとルーターは異なるレイヤで動作するため、機能も大きく異なります。ブリッジはLAN内での通信を効率化し、ルーターは異なるネットワーク間での通信を可能にします。

ブリッジの種類と関連技術

ブリッジには、Ethernetブリッジ以外にも、様々な種類があります。例えば、PPPoEブリッジはPPPoE接続の中継を行うブリッジです。また、スパニングツリープロトコルは、ブリッジによるループを防止するために用いられる重要な技術です。IEEE 802.1aq (Shortest Path Bridging) は、より高速で効率的なブリッジングを実現するための規格です。

まとめ

ブリッジは、複数のLANを接続し、効率的なデータ転送を可能にする重要なネットワーク機器です。MACアドレステーブルによる学習と転送、フラッディングの制御など、複雑な仕組みによってネットワークの安定性とパフォーマンスを向上させています。現代のネットワークではスイッチにその役割が置き換えられていますが、ネットワークの基本的な構成要素として、ブリッジの仕組みを理解することは重要です。

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