ネットワーク層

ネットワーク層は、OSI参照モデルにおいて下から3番目に位置する層であり、TCP/IPモデルにおいてはインターネット層に相当します。この層は、トランスポート層からの要求に応じ、データ[[リンク層]]に対してサービスを要求する役割を担っています。

ネットワーク層の役割

ネットワーク層の主な役割は、エンド・ツー・エンド（起点から終点まで）でのパケット配送を保証することです。データ[[リンク層]]が隣接するノード間のフレーム配送を担当するのに対し、ネットワーク層はより広範囲な通信経路全体をカバーします。具体的には、以下の機能を提供します。

経路選択（ルーティング）：パケットを最適な経路で目的地まで転送するための判断を行います。
中継：パケットを他のネットワーク機器に転送します。
データ転送：サービス品質を維持しつつ、転送元から転送先へデータを確実に届けます。

ネットワーク層では、固定長または可変長のデータを取り扱い、情報転送を扱う範囲は、許可されていればあらゆる場所からあらゆる場所までとなります。

ネットワーク層の考慮点

ネットワーク層が扱う必要がある重要な点として、以下の3つが挙げられます。

1. コネクション型かコネクションレス型か：
コネクション型：通信前に接続を確立する必要がある通信方式（例：電話）。
コネクションレス型：接続を確立せずにデータを送信する通信方式（例：郵便）。
OSIネットワーク層は、コネクション型とコネクションレス型の両方をサポートできますが、TCP/IPのインターネット層はコネクションレス型のIPに対応しています。

2. グローバルアドレス：
ネットワーク内の各機器を識別するための固有のアドレスが必要です。このアドレスは階層的であり、場所と個人を特定できます。インターネットでは、IPアドレスがこの役割を果たします。
グローバルアドレスは固定である必要はなく、特定のグローバルアドレスから任意のアドレスへの転送機能を付加できます。

3. メッセージ転送方式：
モバイル環境では、利用者の移動に応じてメッセージを追跡する必要があります。IPv4は当初、移動性を考慮していませんでしたが、拡張機能が利用できます。IPv6はモバイル環境に適していますが、IPv4と比較して性能が劣る場合もあります。

ネットワーク層のサービス

ネットワーク層は、以下のサービスを提供します。

フォワーディング：受信したパケットを適切なインターフェースに転送します。
ルーティング：最適な経路を選択します。
通信プロトコル：通信に必要な手順を規定します。

具体例

ネットワーク層で使用されるプロトコルの例を以下に示します。

IPv4/IPv6 (Internet Protocol)
DVMRP (Distance Vector Multicast Routing Protocol)
ICMP (Internet Control Message Protocol)
IGMP (Internet Group Multicast Protocol)
PIM-SM (Protocol Independent Multicast Sparse Mode)
PIM-DM (Protocol Independent Multicast Dense Mode)
IPSec (Internet Protocol Security)
IPX (Internetwork Packet Exchange)
RIP (Routing Information Protocol)
OSPF (Open Shortest Path First)
DDP (Datagram Delivery Protocol)

関連事項

ネットワーク層に関連する以下の項目も参照してください。

ルーター：ネットワーク間でパケットを転送する機器。
DECnet：DEC社が開発したネットワークプロトコル。
通信プロトコル：ネットワーク通信の手順を定めた規約。
コンピュータネットワーク：複数のコンピュータを接続したシステム。

外部リンク

* How The Internet Layer Works

ネットワーク層は、データ通信において重要な役割を果たしており、インターネットをはじめとする様々なネットワーク環境を支えています。

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