ブリティッシュ・エアウェイズ2069便ハイジャック未遂事件

ブリティッシュ・エアウェイズ2069便ハイジャック未遂事件の概要

2000年12月29日、ロンドン・ガトウィック空港発ジョモ・ケニヤッタ国際空港（ナイロビ）行きのブリティッシュ・エアウェイズ2069便（ボーイング747-400型機、機体記号G-BNLM）で、ハイジャック未遂事件が発生しました。この事件は、精神疾患を抱えるケニア人男性乗客が、コックピットを乗っ取ろうとしたことによって引き起こされました。

事件発生時の状況

事件当日、BA2069便には乗客379名（ハイジャック犯を含む）、乗員19名が搭乗していました。スーダン現地時間の午前5時頃、男は突然コックピットに侵入し、操縦桿を掴んで機体を失速させ、急降下させようとしました。コックピット内では副操縦士が必死に抵抗し、休憩中だった機長も駆けつけ、男を排除しようとしました。さらに、2階席にいたアメリカ人乗客2名も協力し、最終的に男をコックピットから追い出すことに成功しました。

この急降下により、女性客室乗務員1名が足首を骨折する重傷を負い、乗客4名が軽傷を負いました。しかし、乗務員と乗客の勇敢な行動によって、機体は安定を取り戻し、ナイロビに無事着陸することができました。ハイジャック犯はケニア当局に逮捕され、取り調べに対し、自分が追われているという妄想から、乗客と乗務員を脅威とみなし殺そうとしたと供述しています。

事件後の対応と影響

事件後、運航乗務員3名は2001年にポラリス賞を受賞し、機長は王立障害者リハビリテーション協会（RADAR）の年間最優秀賞を受賞しました。彼らの勇敢な行動は広く称えられました。

また、この事件を受けて、16人のアメリカ人乗客グループがブリティッシュ・エアウェイズに対して数百万ドルの損害賠償訴訟を起こしましたが、後に和解に至りました。イギリス人乗客には、それぞれ2,000ポンドの補償金と無料搭乗券が提供されました。

2013年には、イギリス人乗客のグループが再度訴訟を起こそうとしましたが、最終的に断念しています。

ブリティッシュ・エアウェイズは、2017年現在も便名BA2069を使用していますが、路線はロンドン・ガトウィック空港発、モーリシャスのサー・シウサガル・ラングーラム国際空港行きに変更されています。

その他

当時、同機にはロックミュージシャンのブライアン・フェリーとその家族が搭乗していました。犯人逮捕直後の様子は、フェリーの息子によってビデオに記録されています。

この事件は、航空機の安全対策における課題を浮き彫りにするとともに、乗務員と乗客の連携によって大惨事を回避できた事例として記憶されています。

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