ブルガリア共産党

ブルガリア共産党：社会主義国家の指導政党から多党制への移行

ブルガリア共産党（Българска комунистическа партия, БКП）は、かつてブルガリア人民共和国において、一党独裁体制を敷いた共産主義政党でした。1946年から1990年まで、ブルガリアの政治、経済、社会を主導し、その影響は आजにも残っています。その歴史を紐解きましょう。

ブルガリア共産党の誕生と初期の活動

ブルガリア共産党の起源は、1891年に創設された「ブルガリア社会民主党」に遡ります。1903年には「ブルガリア労働者社会民主党」に改称され、党内は狭義派と広義派に分裂しました。1917年のロシア革命の影響を受け、1919年に「ブルガリア共産党」と改称し、コミンテルンの傘下に入りました。

しかし、1920年代には国内で大弾圧を受け、党幹部は逮捕、亡命、地下活動を余儀なくされました。第二次世界大戦中、ブルガリアは当初中立を保ちましたが、後に枢軸国に協力。1944年9月9日、パルチザンと祖国戦線が権力を掌握し、新政権を樹立しました。この日は共産ブルガリアでは「革命記念日」として祝われました。

社会主義国家の確立と一党独裁体制

1946年9月15日、王制が廃止され、ブルガリア人民共和国が成立しました。1948年には党名を「共産党」に改称し、1949年にはコメコン（経済相互援助会議）設立に参加。社会主義国家としての道を歩み始めました。

1954年、トドル・ジフコフが書記長に就任し、以後35年にわたり政権を掌握。ジフコフ体制下で、ブルガリアはワルシャワ条約機構に加盟し、ソ連との連携を強化。計画経済を導入し、工業化を進めました。しかし、政治的な自由は制限され、言論統制が行われました。

東欧革命とブルガリア共産党の終焉

1980年代後半、東欧諸国で民主化運動が活発化。1989年11月、東欧革命の波がブルガリアにも波及し、ジフコフが辞任。ブルガリア共産党は政権延命を図りましたが、1990年2月には自発的に一党独裁を放棄。同年6月には「社会党」に改称し、多党制民主主義へと移行しました。11月には国名が「ブルガリア共和国」に変更されました。

その後

社会党となった後も、党は1991年に創設100周年を祝いました。一方で、マルクス・レーニン主義の堅持を主張するグループが1996年に新たにブルガリア共産党を結成しましたが、議席を確保するには至っていません。

ブズルジャ記念館

1981年から1991年まで使用された記念館がバルカン山脈のブズルジャ峰の山頂に廃墟のまま残されています。この建物は、1891年のブルガリア社会民主党設立会議がこの山上で行われたことを記念して建てられたものです。記念碑的建造物として保存が期待されていますが、修復維持の予算が確保できないという理由で、2012年に国からブルガリア社会党に所有が移されました。

ブルガリア共産党は、ブルガリアの歴史において大きな足跡を残しました。社会主義体制の確立と崩壊、そして多党制民主主義への移行という激動の時代を経験し、その遺産は今もブルガリア社会に影響を与え続けています。

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