ブルガリア宇宙局

ブルガリア宇宙局（Space Research and Technology Institute, SRTI）は、ブルガリア科学アカデミーに所属する、ブルガリアにおける宇宙科学研究の中核を担う機関です。ブルガリア語では「Институт за космически изследвания и технологии」と表記されます。

歴史

ブルガリアにおける宇宙研究の歴史は、1969年にブルガリア科学アカデミー内に設立された「宇宙物理学科学グループ（Scientific Group of Space Physics, SGSP）」に遡ります。このグループは、ブルガリアにおける宇宙科学研究の基礎を築きました。1974年には、このSGSPを母体として「宇宙研究中央研究所（Central Laboratory for Space Research, CLSR）」が設立されました。CLSRの設立により、ブルガリアはソ連主導の宇宙開発計画である「インターコスモス計画」に参加し、様々な実験や人工衛星、ロケットの設計に携わる機会を得ました。

1979年には、ブルガリア初の宇宙飛行士であるギオルギー・イワノフがソユーズ33号に搭乗し、宇宙へ飛び立ちました。これはブルガリアの宇宙開発における大きなマイルストーンとなりました。さらに1981年には、電離圏と磁場の関係の研究や、地球と宇宙間の遠隔操作技術の実証を目的とした2機の人工衛星「INTERCOSMOS Bulgaria-1300」と「METEOR-PRIRODA」が打ち上げられました。これらの衛星の打ち上げは、ブルガリアの宇宙研究を大きく進展させることになりました。1988年には、2人目のブルガリア人宇宙飛行士であるアレクサンドル・アレクサンドロフがソユーズTM-5に搭乗し、宇宙ステーション「ミール」を訪れました。これらの宇宙飛行士の活躍は、ブルガリアの宇宙開発に対する国民の関心を高めました。

ブルガリア宇宙局は、これらの成果を受け継ぎ、1987年にCLSRの後継機関として設立されました。SRTIは、ブルガリアの宇宙科学研究における重要な役割を担っています。

研究分野と目的

ブルガリア宇宙局の活動分野は、非常に多岐にわたります。宇宙物理学、天体物理学といった基礎研究分野から、画像処理、遠隔操作、生命科学といった応用研究分野まで、幅広い分野の研究を行っています。また、宇宙環境を利用した材料科学、地球観測、宇宙技術の開発も推進しています。これらの研究活動を通じて、ブルガリア宇宙局はブルガリアの科学技術の発展に貢献しています。

ブルガリア宇宙局は、国際的な宇宙研究協力にも積極的に参加しており、世界各国の研究機関と協力して、宇宙に関する様々な課題に取り組んでいます。また、教育機関と連携し、若い研究者の育成にも力を入れています。

ブルガリア宇宙局は、今後も宇宙科学の研究開発を推進し、ブルガリアの宇宙開発に貢献していくことが期待されます。

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