ブルース・グレンヴィル

ブルース・グレンヴィル（Bruce Grenville、1950年1月1日 - ）は、ニュージーランドのオークランド出身のアナキストであり、アーティスタンプ（切手を制作する芸術家）として活動しています。彼はブルース・ロナルド・ヘンダーソン(Bruce Ronald Henderson)やマーチン・レンウィック(Martin Renwick)という別名も持っており、映画通としても知られています。

1968年から1980年代にかけて、グレンヴィルはユートピア国家を独自の解釈で創り出し、そのメッセージを社会に訴えるため、旧ポルトガル領で当時インドネシアに占領されていた東ティモールの飛び地であるオエクシ＝アンベノや、オマーンのスルターン皇帝国の独立主張という悪戯を仕掛けました。これらはメディアを通じて広く報道され、彼のアナキストとしての立場を世に知らしめることとなりました。

1973年には、グレンヴィルは、自身が設立したミネルバ共和国（実際にはトンガにあるミネルバリーフ）を最初に承認した国として、オクシ＝アンベノ首長国政主張政府を主張しました。この独自の歴史解釈が評判を呼び、ニュージーランド・ヘラルド誌が大きく取り上げたことで、オクシ＝アンベノ首長国政主張政府のリーダーは誰なのか？とメディアの注目を集めることになりました。彼はオクシ＝アンベノを中心にメディアに登場し、注目を浴びました。1977年には、アーティスタンプとしてオクシ＝アンベノ首長国政主張政府の偽切手を制作し、切手コレクターなどの間で話題となりました。

この出来事をきっかけに、グレンヴィルは「国」をテーマにしたユーモラスな仮想国家を次々と設立し、アーティスタンプ作品として偽装切手を制作するようになりました。彼の創造力によって生まれた仮想国家は、オクシ＝アンベノ首長国やスルターン皇帝国以外にも、ケンプランド共和国（オーストラリア）、セダン王国（19世紀に実在したフランスの王国）、ケンプランド人民共和国、自由ヴィンランド共和国、ラウル共和国（ケルマディック諸島のラウル島）、ツイ・ツイ共和国、アラモアナ共和国、ポートマリア共和国、ジーガーラント共和国、カレンニー共和国（ミャンマーのカレン）、ブハラ共和国、アルダブラ共和国（セーシェルのアルダブラ環礁）、上ヤファ共和国（南アラビア保護領の上ヤファ首長国、現在はイエメンに統合）、新アルカディア共和国、南極連合など、22にも及びます。これらの仮想国家は、彼が独自に設立したASEANや国連のパロディである独立国家国際評議会(International Council of Independent States、ICIS)に加盟しているという設定でした。これらのアーティスタンプ作品は、メールアートとして、国際インビテーション・アーティスタンプ展、1993年にアメリカのシアトルで開催された第3回国際アーティスタンプ・ビエンナーレ、太平洋岸北西部アーティスタンプ・コレクティブ、1994年にスペインのバルセロナで開催されたArtesellos in BarcelonaやロシアのMAILARTISSIMO 2004など、アーティスタンプの個展や展覧会にも参加しました。

グレンヴィルの創造したこれらの仮想国家は、時にミクロネーションとして扱われることもありますが、実際には彼が設立した架空の国々です。

映画ファンとしても知られるグレンヴィルは、1999年1月には、イギリスのBBC制作のSFテレビドラマ「ドクター・フー」の、どこかに消えてしまった1965年のエピソード「The Crusade (Doctor Who)」の「The Lion」の貴重なフィルムを、ネーピアにある自宅のガレージで発見しました。この発見はメディアで大きく取り上げられ、彼のコレクションしていた「ドクター・フー」のフィルムは、後にVHSやDVDでもリリースされました。

もう一度検索