ブルー・マーダー (アルバム)

ブルー・マーダー (Blue Murder) - 1989年デビューアルバム

ブルー・マーダーは、ギタリストのジョン・サイクスが中心となって結成されたハードロックバンドで、1989年に発表されたこのデビューアルバムは、彼らの音楽キャリアにおける重要な一歩となりました。アルバムは、制作過程におけるメンバーの変遷、音楽性、批評家からの評価など、多くの注目すべき点を持っています。

制作の背景

アルバム制作は、サイクスがトニー・フランクリンとコージー・パウエルと共にデモ録音を開始したことから始まりました。フランクリンによれば、収録曲の「ライオット」「アウト・オブ・ラヴ」「トレミー」、そして「ブルー・マーダー」は、パウエル在籍時にデモが作成されていたとのことです。その後、元ブラック・サバスのレイ・ギランをボーカリストとして迎えましたが、ギランは短期間で脱退。フランクリンは、ギランのソングライティングがサイクスの音楽的ビジョンと合わなかったと語っています。

パウエルの脱退後、ブラック・サバスのトニー・マーティンが後任候補として挙がりましたが、マーティンもアルバムに1曲貢献したのみで脱退。結果的に、サイクス自身がボーカルを担当することになりました。最終的には、カーマイン・アピスがドラマーとして加入し、ラインナップが確定しました。アルバムは、サイクスが以前所属していたホワイトスネイクのレーベル、ゲフィン・レコードからリリースされました。

反響と評価

本作は、全英アルバムチャートで最高45位を記録し、アメリカのBillboard 200では69位にランクインしました。シングルカットされた「ジェリー・ロール」は、ビルボードのメインストリーム・ロックチャートで15位を獲得しています。

音楽評論家からの評価も高く、オールミュージックのEduardo Rivadaviaは、5点満点中4.5点を付け、プロデューサーのボブ・ロックによるサウンドを「1980年代メタルを代表する、爆発的で聴きやすい音」と評しました。また、楽曲のクオリティや演奏の完成度についても高く評価し、「当時の類似スタイルのメタルアルバムよりも聴き応えがある」と述べています。

日本のヘヴィメタル専門誌『BURRN!』のレビューでは、4人の評者がそれぞれ90点以上を付け、サイクスのボーカルを称賛しました。

収録曲

1. ライオット - "Riot" - 6:22
2. セックス・チャイルド - "Sex Child" - 5:58
3. ヴァリー・オブ・ザ・キングス - "Valley of the Kings" (John Sykes, Tony Martin) - 7:51
4. ジェリー・ロール - "Jelly Roll" - 4:44
5. ブルー・マーダー - "Blue Murder" (J. Sykes, Tony Franklin, Carmine Appice) - 4:55
6. アウト・オブ・ラヴ - "Out of Love" - 6:44
7. ビリー - "Billy" - 4:11
8. トレミー - "Ptolemy" - 6:29
9. ブラック・ハーテッド・ウーマン - "Black-Hearted Woman" (J. Sykes, T. Franklin, C. Appice) - 4:50

※特記がない楽曲はジョン・サイクスによる作曲。

参加ミュージシャン

ジョン・サイクス - ボーカル、ギター、バックグラウンド・ボーカル
トニー・フランクリン - ベース、バックグラウンド・ボーカル
カーマイン・アピス - ドラムス、バックグラウンド・ボーカル

アディショナル・ミュージシャン

ニック・グリーン - キーボード
ジョン・ウェブスター - アディショナル・キーボード・プログラミング
マーク・ラフランス、デヴィッド・スティール - アディショナル・バックグラウンド・ボーカル


このアルバムは、ジョン・サイクスの音楽的才能と、ハードロックの黄金時代を象徴するサウンドが詰まった作品と言えるでしょう。

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