ブレスケンス号事件

ブレスケンス号事件に関する詳細

ブレスケンス号事件は、1643年に発生した歴史的な出来事です。この事件では、オランダの商船「ブレスケンス号」の乗組員が日本の盛岡藩の領域に上陸し、その後捕縛されました。事件はオランダ船の日本における鎖国体制の影響を浮き彫りにするものであり、双方の国にとって重要な意味を持っていました。

事件の背景

事件の発端には、古くから存在した金銀島の伝説があります。この伝説は、ヨーロッパ各地で金銀が採掘できる島があるというもので、1640年代にオランダ商館の職員が報告したこともあり、その探索が進められました。1643年初頭、オランダ東インド会社はこの金銀島を探し求めるために探検隊を派遣し、その中にブレスケンス号が含まれていました。

初回の上陸

1643年2月、ブレスケンス号は日本近海に到達し、盛岡藩の領域である陸奥国山田浦に漂着しました。乗組員は地元の村民に歓迎され、水の補給を受けた後に再出航しました。しかし、この時点で日本は鎖国体制を強化しており、外国人の上陸は制限されていました。

二度目の寄港と捕縛

同年7月28日、ブレスケンス号が再び山田浦に入港した際、村民は乗組員を歓待しましたが、捕縛の命令が下され、船長を含む10名が拘束されました。日本ではすでにポルトガル人の追放が行われ、オランダ人も出島に制限されていたため、外国人上陸には厳以を持って対応する姿勢が強まっていました。

船長のスハープは、幸いにもスペイン語を話せたため、乗組員の身分を説明し、良好な待遇を受けることができましたが、その後、江戸に護送される運命となりました。

盛岡での扱い

捕縛された乗組員はまず盛岡城に連行され、藩主南部重直の尋問を受けました。藩主は彼らが密航を目論む宣教師ではないかと疑い、多様な質問を投げかけました。乗組員たちは自己の身分を強調し、長崎での交易についても説明しました。これにより藩主は彼らを評価し、約二週間の間、盛岡での滞在を許しました。

乗員の解放

オランダ商館にこの事件が伝わると、商館長たちは急遽江戸に向かい、オランダと日本の関係悪化を防ぐために謝罪の意を示しました。結果として、1643年12月8日に乗組員は釈放されましたが、幕府はこの釈放が徳川家光の特別な配慮によるものであると受け止め、オランダには感謝の意を示すよう要求しました。

幕府の不満と特使派遣

オランダ側は事件の解決を考えましたが、幕府はオランダの対応に不満を持っていました。そのため、オランダ東インド会社は謝礼使節を派遣する決定を下し、特使として法学博士のペーテル・ブロークホビウスを選びました。

彼を副使としてアンドレアス・フリシウスがサポートし、さらには江戸に臼砲を献上する意向も示しました。彼らが江戸に到着した際、会見は友好的であり、双方の関係が改善されることになります。

事件の結末

この特使派遣が成功したことで、日蘭関係はより良好なものとなりました。しかし、事件から数年後の1646年、ブレスケンス号はフィリピン沖で沈没してしまいました。日本での事件が記憶される中、ブレスケンス号は歴史の一部としても重要な位置を占めています。

地名の由来

事件があった山田湾にある大島は「オランダ島」とも呼ばれ、捕縛された小島は「女郎島」と名付けられました。これらの地名は、ブレスケンス号事件の記憶を今に伝えるものとなっています。

このように、ブレスケンス号事件は日本とオランダの歴史的関係を考える上で欠かせない出来事として位置づけられ、当時の国際情勢や文化的交流にも影響を与えました。

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