ブレダ・ザパタ BZ.308

ブレダ・ザパタ BZ.308

概要

ブレダ・ザパタ BZ.308は、イタリアのブレダ社によって設計された旅客機で、4基のエンジンを搭載し、大西洋横断航路やヨーロッパ航空路に対応することを目的としています。1946年に製造が開始され、1948年に初飛行を果たしましたが、さまざまな要因によって開発が難航しました。

設計と開発

この航空機のデザインは、航空機技術者フィリッポ・ザパタによって行われました。ちゃんとした運航機能を確保するために4発エンジン機が求められ、セスト・サン・ジョヴァンニ工場での製造が始まりました。しかし、連合軍の管理下にあった影響で作業は一時中断され、エンジン供給の遅延もあり、初飛行は1948年の8月にまでずれ込みました。

BZ.308の設計は全金属製で、低翼単葉機の形状を持ち、胴体は楕円形の断面を特徴としています。また、2組の垂直尾翼と引き込み式の降着装置を備え、大きな水平尾翼が搭載されています。搭載されている4基のブリストル セントーラスエンジンは、5枚のブレードプロペラを駆動する役割を果たします。設計上では、5名の運航要員と2つのキャビンを用いて、最大55名の乗客を輸送することができるはずでした。

しかし、戦後の経済状況やアメリカ製旅客機の人気の高まりが影響し、事業は経済的な問題を抱えることになりました。マーシャル・プランに基づく規制のため、ブレダの航空機産業は閉鎖に追い込まれ、最終的にBZ.308の開発計画は頓挫しました。

運用の歴史

BZ.308の試作機は1949年、イタリア空軍によって購入されました。この時期、インドやアルゼンチン、イランからの注文もありましたが、政治的な圧力により、イタリアはこの旅客機市場から撤退するよう求められました。このため、試作機が1機だけ製造される結果となりました。

1948年8月27日、イタリアの政治家や軍関係者が見守る中、BZ.308は初飛行を行いました。その後、イタリア空軍に引き渡された機体は、ローマとモガディシオ間のフライトで活用されましたが、不運にも着陸失敗により損傷。その後は1954年までソマリアの飛行場に放置され、最終的には破壊されてしまいました。

この機体はイタリア初の大西洋横断航空機としての歴史を持ち、1948年には新設されたマルペンサ空港に初めて乗り入れた航空機でもあります。映画「ローマの休日」の中の飛行場のシーンでは、このBZ.308の姿を目にすることができます。

要目

• - 乗員：5名
• - 搭乗可能乗客数：55名
• - 全長：33.50 m
• - 全幅：42.10 m
• - 全高：7.20 m
• - 翼面積：206.60 m²
• - 空虚重量：23,000 kg
• - 最大離陸重量：40,000 kg
• - 最高速度：575 km/h
• - 巡航高度：10,000 m
• - エンジン：ブリストル セントーラス（2,500 hp × 4）

このように、ブレダ・ザパタ BZ.308は戦後の航空機の発展において大きな意義を持つ機体でありましたが、その運命は政治的・経済的状況に影響されてしまいました。

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