ブレット・ローガン

ブレット・ローガン：ニグロリーグの伝説的剛腕

ブレット・ローガン、本名チャールズ・ウィルバー・ローガン（1893年7月28日 - 1967年3月4日）は、20世紀初頭にアメリカ合衆国のニグロリーグで圧倒的な存在感を放った野球選手です。「弾丸（Bullet）」の異名を持つ彼は、カンザスシティ・モナークスのエースとして、その剛速球と卓越した打撃で多くのファンを魅了しました。

軍隊生活と才能の開花

ローガンは1911年にカンザスシティのチームで捕手として野球を始めましたが、同年12月に陸軍に入隊。フィリピンやハワイに駐留するアフリカ系アメリカ人部隊（第25歩兵師団）で、その才能が開花します。軍の野球チームで投手を務めるようになり、驚異的な球威が評判を呼びました。1917年には、J.L.ウィルキンソンが所有する多国籍チーム「オール・ネイションズ」でプレーし、その実力をさらに磨きました。

モナークスでの輝かしい実績

1920年、ローガンはカンザスシティ・モナークスに入団し、ニグロリーグでのキャリアをスタートさせます。モナークス入団時、彼はすでに30歳を超えていましたが、その実力は衰えることを知りませんでした。1922年から1925年まで、4年連続でニグロ・ナショナル・リーグの最多勝利投手となり、その名をリーグに轟かせました。

ローガンの才能は、投手としての能力だけにとどまりません。彼は外野手や二塁手としても出場できる器用さを持ち合わせていました。打撃面でも非凡な才能を発揮し、1922年には47試合で13本塁打、1924年には打率.411という驚異的な成績を残しています。1924年のヒルデール・デイジーズとのニグロ・ワールドシリーズでは、投手として4試合に登板し2勝1敗、防御率2.57、打率.325という素晴らしい成績を収めました。

1925年はローガンにとってキャリアの絶頂期でした。投手として14勝を挙げ、リーグ最多奪三振を記録するだけでなく、打率.374というハイアベレージもマークしました。この年、モナークスはセントルイス・スターズとプレーオフを争いましたが、ローガンは相手を24イニング連続無失点に抑えるなど、圧倒的な力でチームを牽引し、10回戦制のシリーズを4連勝で飾りました。しかし、ローガンが膝を痛めて欠場すると、モナークスは残りの6試合をすべて落としてしまいます。

キューバやカリフォルニアでの活躍

ローガンはニグロリーグだけでなく、キューバリーグやカリフォルニア・ウインターリーグなど、様々な舞台でその才能を発揮しました。キューバリーグでは1924/25年のリーグ戦を制覇し、カリフォルニアリーグでは1920年から1930年の間に約130試合に出場、投手として42勝14敗、打率.326、15本塁打などの記録を残しています。

監督としての手腕

1926年からは、ホセ・メンデスの後を継いでモナークスの監督を兼任します。1928年には10勝2敗、打率.358という成績を残し、選手としてもチームを牽引しました。その後は徐々に監督業に専念し、時折外野手として出場する程度となりましたが、監督としても優れた手腕を発揮し、1929年には62勝17敗という圧倒的な成績でモナークスをニグロ・ナショナルリーグ4度目の制覇に導きました。ローガンは1938年までモナークスの監督を務め、同年を最後に現役を引退しました。

ある研究によると、ローガンの生涯通算成績は、セミプロや陸軍のチームでの試合を含め、350勝、2000奪三振、2500安打、350本塁打、500盗塁に達するとされています。

引退後

引退後、ローガンは1946年までニグロリーグの審判を務め、その後は郵便局員として働きました。1967年にカンザスシティで亡くなり、1998年にはベテランズ委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たし、その功績が永遠に称えられることとなりました。

ブレット・ローガンは、ニグロリーグの歴史において最も偉大な選手の一人として、その名が永遠に語り継がれるでしょう。

もう一度検索