J.L.ウィルキンソン

J.L.ウィルキンソン（James Leslie "J.L." Wilkinson, 1878年5月14日 - 1964年8月21日）は、ニグロリーグの球団オーナーとして知られる人物です。アイオワ州アルゴナで生まれ、カンザスシティ・モナークスをニグロリーグ屈指の強豪へと育て上げました。

初期の活動とオール・ネイションズ

ウィルキンソンは元々、地元アイオワで投手として活躍していましたが、腕の怪我により選手としてのキャリアを断念。その後、企業家として歩み始めます。1909年には女子野球の巡業チームを組織し、1912年にはアフリカ系アメリカ人だけでなく、ラテンアメリカやアジア出身の選手も加えた「オール・ネイションズ」を結成しました。このチームは多民族の選手を擁することで注目を集めましたが、第一次世界大戦の影響で選手が徴兵され、活動を停止せざるを得なくなりました。

カンザスシティ・モナークスの設立とニグロリーグでの活躍

第一次世界大戦後、ウィルキンソンはオール・ネイションズの選手たちを中心に、カンザスシティでモナークスを結成し、ニグロリーグに参入します。彼は、ニグロリーグを組織したルーブ・フォスターから信頼される唯一の白人オーナーとなりました。モナークスは1920年代にニグロ・ナショナル・リーグを4度制覇するなど、リーグを代表する強豪チームとして名を馳せました。

世界恐慌と巡業、そしてリーグの再編

1930年代に入ると、世界恐慌の影響でニグロリーグの球団経営は苦境に立たされます。そこでウィルキンソンは、モナークスをアメリカ中西部に巡業させることを決断。チームは各地で人気を博し、観客を魅了しました。また、夜間試合を可能にするため、自らが出資して移動式照明装置を購入し、バスに積んで巡業に同行させたというエピソードも残っています。宿泊先では、選手を優先的に良い部屋に泊まらせ、自身はコーチらと寝棚で寝ることもあったそうです。

1930年代後半にニグロリーグが再編されると、モナークスはニグロ・アメリカン・リーグに加盟。1937年から1946年までの間に、7度のリーグ優勝を飾りました。この時期のモナークスには、後にアメリカ野球殿堂入りする名選手が多数在籍していました。

ジャッキー・ロビンソンとの契約とニグロリーグからの引退

1945年、ウィルキンソンはジャッキー・ロビンソンとプロ野球選手としての契約を結びました。ロビンソンはその後、ブルックリン・ドジャースに入団し、メジャーリーグの「カラーライン」を打ち破る先駆者となりました。1948年、ウィルキンソンはモナークスを売却し、ニグロリーグの経営から身を引きました。

1964年、ウィルキンソンはカンザスシティで86歳で亡くなりました。2006年には、ニグロリーグ特別委員会によりアメリカ野球殿堂入りを果たし、その功績が称えられました。

関連項目

ブレット・ジョー・ローガン：オール・ネイションズ、カンザスシティ・モナークスで活躍した選手
ホセ・メンデス：キューバ出身のアメリカ野球殿堂入り投手。オール・ネイションズに所属
* 三神吾朗：オール・ネイションズでプレーした日本人選手。「ジャップ・ミカド」の名でプレー

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