ホセ・メンデス

ホセ・デ・ラ・カリダド・メンデス・バエス：黒きダイヤの軌跡

1887年3月19日、キューバのマタンサス州カルデナスで生まれたホセ・メンデスは、20世紀初頭の野球界にその名を刻んだ伝説的な投手です。愛称は「エル・ディアマンテ・ネグロ」、黒きダイヤ。その名は、彼の卓越した投球術と、ニグロリーグ、キューバリーグ双方での輝かしい活躍を象徴しています。

キューバリーグでの華々しいデビューとアメリカ挑戦

1907年、メンデスはキューバ国内リーグであるリーガ・クバーナ・デ・ベイスボルでプロとしてのキャリアをスタートさせます。アラクラネス・デル・アルメンダレスに入団すると、いきなり9連勝という鮮烈なデビューを飾り、チームのリーグ優勝に貢献しました。

その活躍はすぐにアメリカへと届き、1908年の夏にはニグロリーグのブルックリン・ロイヤル・ジャイアンツへ移籍。3連勝を記録するなど、その才能は瞬く間に全米に知れ渡ります。同年秋、キューバを訪れたシンシナティ・レッズとの親善試合では、3試合に登板し25回を無失点に抑えるという驚異的な投球を披露。その後もメジャーリーグのチームとの交流試合に数多く登板し、高い勝率を残しました。

ニグロリーグでの活躍と監督業

1913年には、J.L.ウィルキンソンが所有していたオール・ネイションズに移籍。ジョー・ウィリアムズやルーブ・フォスターらと共に、ニグロリーグを代表する投手として活躍しました。しかし1914年、右腕の負傷により遊撃手に転向を余儀なくされます。

それでもなお、遊撃手としても高い能力を発揮し、1920年にはカンザスシティ・モナークスに移籍。1923年には選手兼任監督としてチームをリーグ優勝に導き、自身も投手として復活、12勝4敗の成績を残します。

1924年には、イースタン・カラードリーグの優勝チームとのニグロリーグ・ワールドシリーズで4試合に登板、完封勝利を含む2勝を挙げ、チームの優勝に貢献しました。この頃には、アメリカのリーグオフシーズンにはキューバに戻り、キューバリーグでもプレーしていました。

1925年には投手としては苦戦しましたが、監督としてモナークスをリーグ3連覇に導く手腕を見せつけました。

キューバでの晩年と殿堂入り

1926年にニグロリーグを離れ、キューバに戻ったメンデスは、1927年1月21日にキューバで生涯最後の勝利を収めます。キューバリーグでの通算成績は驚異的な勝率.731（76勝28敗）でした。

1928年10月31日、ハバナで気管支肺炎のため41歳の若さで死去。しかし、彼の偉大な功績は後世に語り継がれ、1939年にはキューバ野球殿堂入り、2006年にはニグロリーグ特別委員会による選考でアメリカ野球殿堂入りを果たしました。

伝説の投手：そのプレースタイル

173cmと決して大柄ではなかったメンデスですが、長い腕と指を活かした独特の投球フォームが持ち味でした。ジョー・ウィリアムズを凌ぐと評された速球と、落差の大きいカーブを武器に、緩急自在のピッチングで打者を翻弄しました。

記録

リーガ・クバーナ・デ・ベイスボル：76勝28敗、162試合、72完投
メジャーリーグとの交流試合：9勝11敗、防御率3.26、24試合、20先発、204.0回、51与四球、9与死球、123奪三振

ホセ・メンデスは、才能と努力、そして類まれな精神力で、キューバとアメリカの野球史に永遠の足跡を残した、真のレジェンドでした。彼の活躍は、国境を越えた野球界の偉大な物語として語り継がれていくでしょう。

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