ブロウ・モンキーズ

ブロウ・モンキーズ

ブロウ・モンキーズ（The Blow Monkeys）は、1981年にスコットランド出身のドクター・ロバート（本名：Bruce Robert Howard）を中心に結成されたイギリスの4人組バンドです。ヴォーカル・ギター、サックス、フレットレスベース、ドラムスというユニークな編成で、80年代の音楽シーンにおいて特異な存在感を示しました。

バンド名の由来と歴史

バンド名はロバートが大学時代にディジュリドゥ奏者のアボリジニに取材を行った際に知った、「The Blow Monkeys」という曲から名付けられました。彼らの音楽スタイルは、80年代のスタイル・カウンシルと並べて語られることが多く、ソウル、R&B、フィリーサウンドに根ざしつつも、フォークやブルース、さらに80年代後半にはハウスミュージックやワールドミュージックを取り入れ、進化を遂げていきました。ロバートの魅力的なルックスと歌唱力も、バンドの人気を後押ししました。

1986年にリリースされたセカンドアルバム『アニマル・マジック』のシングル「Diggin' Your Scene」は、全米ビルボードチャートで最高14位を記録し、彼らの名声を一気に高めました。その後も1987年の「It Doesn't Have To Be This Way」はUKチャートで10位以内にランクインし、日本でもヒットを記録しました。バンドは1986年から1989年にかけて3度の来日公演を行い、特に1989年の公演では、ハウスサウンドを取り入れたオールスタンディングの特別なセットを披露しました。

解散と再結成

1990年8月、突然の解散を発表したバンドですが、ロバートはその後ソロ活動に転向し、アコースティック中心の落ち着いたスタイルに移行しました。しかし、2008年にはオリジナルメンバーによる再結成を果たし、その後はライブ活動を続け、2019年時点で5枚のスタジオアルバムをリリースしています。また、2013年には来日公演も行っています。

音楽スタイルと影響

ロバートはエルヴィス・プレスリーやマーク・ボランを自身の音楽的ヒーローとして挙げており、彼らの影響を受けたステージアクションを展開しました。音楽的には80年代のUKにおけるR&Bやソウルの流行を取り入れており、カーティス・メイフィールドからの影響も顕著です。楽曲中にアコースティックな要素が溶け込んだ楽曲も多く、例えば「(Celebrate) The Day After You」ではギターの奏法やストリングスのアレンジが高く評価されています。

アルバム『スプリングタイム・フォー・ザ・ワールド』では、アラブ系音楽の第一人者シェブ・ハレドとの共演が光り、国際色豊かな音楽を展開しました。また、ロバートはおそらく80年代のブラック・ミュージックフリークであり、レコードを約3万枚も所有しています。この影響が、様々なバージョンやミックス違いの楽曲に繋がっています。

政治的なステートメント

ブロウ・モンキーズの歌詞には、イギリス人特有の皮肉やユーモア、政治批判が散見されます。3rdアルバム『She Was Only A Grocer's Daughter』は、当時の首相マーガレット・サッチャーへの批判が色濃く反映された作品です。見た目はラブソングでも、実際には政権批判が込められている曲も存在します。さらに、ポール・ウェラーとの交流や、労働党を支持する運動への参加もありました。

ディスコグラフィと現在

彼らの音楽は、時代の流れを感じさせると同時に、斬新なフレーズやリズムを駆使し続けています。スタジオ・アルバムは1984年から2017年までに多くの作品がリリースされており、また様々なコンピレーションアルバムやライブアルバムも存在します。再結成後も新たな音楽を創り出しており、彼らの活動は依然として注目を浴びています。ブロウ・モンキーズは、時を超えた魅力を持つバンドとして、今も多くのファンを惹きつけています。

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