ブロックノイズ

ブロックノイズとは

ブロックノイズとは、デジタル映像を圧縮する際に発生する、画像の一部がモザイク状に見える現象のことです。特に、グラデーションのように色の変化が少ない部分で目立ちやすく、映像の品質を著しく低下させる原因となります。この現象は、技術的には「ブロック歪み」と呼ばれることもあります。

本記事では、デジタル映像におけるブロックノイズ、特に圧縮によって生じるものについて詳しく解説します。

ブロックノイズの発生原因

ブロックノイズは、主にMPEG-2やJPEGなどの高効率符号化方式で採用されている、離散コサイン変換（DCT）という技術が関係しています。これらの方式では、画像を小さな矩形ブロック（例えば、MPEG-2では16×16ピクセル）に分割し、ブロック単位でデータ圧縮を行います。

圧縮の際、各ブロックに割り当てられる情報量には上限があるため、高周波成分（画像の細かい変化）を省略することでデータ量を削減します。この過程で、元の情報を完全に復元できない「非可逆圧縮」が発生します。

圧縮率を高く設定すると、高周波成分だけでなく、低周波成分の情報も削減せざるを得なくなります。その結果、ブロック全体が均一化され、隣接するブロックとの境界で輝度や色の連続性が失われ、ブロック状の輪郭が目立つようになります。これは、見た目にはブロック間に段差が生じているように見えるかもしれませんが、実際には段差自体は大きくない場合もあります。

段差のように見える主な原因は、ブロック間でエッジの傾きが不連続になること、ブロック内部の高周波成分が量子化によって減少するのに対し、ブロック境界では高周波成分が残ることなどが挙げられます。

ブロックノイズの対策

ブロックノイズを軽減するためには、いくつかの方法があります。

伝送帯域幅の確保: 十分な伝送帯域幅（ビットレート）を確保することで、圧縮率を抑えることができ、ブロック歪みの発生を抑制できます。
可変ビットレート符号化 (VBR) の採用: コンテンツの場面ごとに異なる情報量に応じて圧縮の程度を変化させる可変ビットレート符号化を採用することで、ブロック歪みを発生させずに平均ビットレートを下げることが可能です。
ブロックノイズが発生しにくい符号化方式の採用: ウェーブレット変換など、ブロックノイズが発生しにくい符号化方式を使用することで、より高品質な映像を維持できます。

誤用されやすい用語

ブロックノイズと似た現象に「ベリノイズ」というものがあります。ベリノイズも画面の一部ブロックが乱れる現象ですが、これはビットレートの不足によるものではなく、伝送時のビットエラーが原因で発生します。ブロックノイズとベリノイズは発生原因が異なるため、区別する必要があります。

まとめ

ブロックノイズは、デジタル映像を圧縮する過程で生じる避けられない現象の一つです。しかし、適切な圧縮技術や伝送環境を整えることで、その影響を最小限に抑えることができます。映像の品質を維持するためには、ブロックノイズの発生原因と対策を理解しておくことが重要です。

関連項目

圧縮アーティファクト
ベリノイズ
モスキートノイズ
* デジタルアーティファクト

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