ブロードウェイ (映画)

『ブロードウェイ』（Babes on Broadway）

本作『ブロードウェイ』（原題：Babes on Broadway）は、1941年にアメリカで公開されたミュージカル映画です。当時、若手スターとして人気を博していたミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドが主演を務めました。

概要

監督は主にバスビー・バークレーが手掛けましたが、作中の一部のシーン、特にジュディ・ガーランドのソロナンバーの演出については、後に名監督となるヴィンセント・ミネリが担当しています。この作品は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）が制作した「バックヤード・ミュージカル」シリーズの第三作目に位置づけられます。このシリーズは、『青春一座』（1939年）、『ストライク・アップ・ザ・バンド』（1940年）に続くもので、若者たちが協力してショーを企画・上演するという「劇中劇」の形式を採用しています。観客は、舞台人としての成功を夢見る若者たちの情熱と奮闘、そして彼らが作り上げる華やかなステージの両方を楽しむことができます。

キャスト

主要キャストとして、ミッキー・ルーニーがトミー・ウィリアムズを、ジュディ・ガーランドがペニー・モリスを演じ、物語の中心を担います。彼らを支える共演者には、ミス・ジョーンズ役のフェイ・ベインターや、バーバラ役のヴァージニア・ウェイドラーなどが名を連ねています。

制作

本作は「バックヤード・ミュージカル」シリーズの一部として企画されました。制作にはいくつかの逸話があります。特に、撮影中に当時19歳だったジュディ・ガーランドが、最初の夫となるデヴィッド・ローズとラスベガスで秘密裏に結婚式を挙げたため、撮影が一時中断されたという出来事が記録されています。

ミュージカル・シーンと楽曲

作中では、数多くの魅力的な楽曲が披露されました。タイトルナンバーである「Babes on Broadway」（バートン・レーン作曲、E.Y.ハーバーグ作詞）は作品のテーマを象徴する一曲です。また、ジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニーが歌う「How About You?」（バートン・レーン作曲、ラルフ・フリード作詞）は、二人の関係性を示す重要な楽曲として知られています。これらのオリジナル曲に加え、既存のナンバーやパロディなども効果的に使用されています。

特に印象的なミュージカルシーンとして、「ゴースト・シアター・シーケンス」と「ミンストレル・ショー・シーケンス」が挙げられます。「ゴースト・シアター」では、ルーニーとガーランドが往年の著名な舞台人を模倣して演技や歌を披露し、エンターテイメント史へのオマージュが捧げられます。一方、作品の終盤に登場する「ミンストレル・ショー」のシーンは、主要キャストがブラックフェイスを施して出演するという、現代においては人種差別的とみなされる表現が含まれており、当時の大衆文化の一側面を示すものとして注目されます。このシーンでは、「バイ・ザ・ライト・オブ・ザ・シルヴァリー・ムーン」や「故郷の人々」、「Waiting for the Robert E. Lee」といった楽曲が歌われました。

興行収入とホームメディア

商業的にも成功を収めた本作は、MGMの記録によれば、アメリカおよびカナダでの興行収入が236万3千ドル、それ以外の地域で149万6千ドルを計上し、総額172万ドルの利益をもたらしました。

後年、本作を含む「バックヤード・ミュージカル」シリーズはホームメディアとしてもリリースされています。2007年9月25日には、『The Mickey Rooney & Judy Garland Collection』というタイトルの5枚組DVDセットが登場し、本作に加え、『青春一座』、『ストライク・アップ・ザ・バンド』、『ガール・クレイジー』といったシリーズ作品と共に、主演二人の特典映像も収録されました。

本作は、若きミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドの才能が輝く、1940年代アメリカのミュージカル映画を代表する一作であり、当時のエンターテイメントの潮流や社会背景を知る上でも興味深い作品と言えるでしょう。

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