プシェヴォルスク文化

プシェヴォルスク文化：ポーランド・ウクライナに栄えた鉄器時代文化

プシェヴォルスク文化は、紀元前2世紀から4世紀にかけて、現在のポーランド南部と中部、そしてウクライナ西部に広がっていた鉄器時代の文化です。ポーランド南東部のプシェヴォルスクという街で最初にその遺跡が発見されたことにちなんで名付けられました。この文化は、ゲルマン系のオクシヴィエ文化や、東方のザルビンツィ文化、チェルニャコヴォ文化と関連性があり、これらはいずれも鉄器時代のスラヴ人の地方文化と考えられています。特に、ヴァンダル族の文化であると推定されています。

先行する文化とのかかわり

プシェヴォルスク文化は、その地域に先行していた文化からの影響を強く受けています。一つは、紀元前7世紀から紀元前2世紀にかけて栄えたポメラニア文化です。ポメラニア文化は、それ以前のラウジッツ文化（紀元前14世紀～紀元前6世紀）とチェルノレス文化（紀元前12世紀～紀元前3世紀）が融合して成立したとされています。ラウジッツ文化はイリュリア人と推定され、チェルノレス文化はスラヴ語派の発生に決定的な役割を果たしたと見なされています。ポメラニア文化はその後、ヤストルフ文化（紀元前6世紀～1世紀）の影響も受けました。ヤストルフ文化はゲルマン語派の発生に決定的な文化と考えられており、エルベ川流域を中心に広大な地域をカバーしていました。

興味深いことに、プシェヴォルスク文化はヤストルフ文化と複雑な関係を持っていました。ヤストルフ文化の影響を強く受けたポメラニア文化の一部は、紀元前2世紀にオクシヴィエ文化へと発展しました。オクシヴィエ文化はゴート族の文化であると推定されています。一方、ポメラニア文化の残りの地域、特にヴィスワ川とオドラ川流域の肥沃な土地では、プシェヴォルスク文化が発展しました。これは、ヴァンダル族の文化であると推定されています。

文化の特徴

プシェヴォルスク文化の遺跡からは、防御施設のない開けた集落が発見されています。住居は当初半地下式でしたが、後に地上式に変化しました。また、大規模な墓地からは火葬の習慣が確認されています。初期には遺体を直接穴に埋葬していましたが、後に骨壺を用いるようになりました。墓からは、故人が生前に愛用していた武器などが一緒に埋葬されている場合もあります。

装飾品には、オオカミ、グリフィン、結婚式、雄ヤギ、騎士像など精巧な彫刻が施されています。これらの象徴物は互いに関連しており、各地の部族それぞれの歴史を物語っている可能性があると推測されています。

後期と周辺文化

1世紀になると、オクシヴィエ文化（ゴート族）は南下を始め、プシェヴォルスク文化（ヴァンダル族）の一部と融合し、ヴィェルバルク文化へと発展しました。プシェヴォルスク文化もまた南下し、ヴィェルバルク文化と同様にウクライナ方面へと勢力を拡大しました。

5世紀になると、プシェヴォルスク文化はウクライナやベラルーシ方面からの類似文化と融合し、プラハ・コルチャク文化へと移行していきました。この移行の背景には、東方における政治的な大異変があったと考えられています。

まとめ

プシェヴォルスク文化は、先行する文化の影響を受けながらも、独自の文化様式を確立した鉄器時代の文化です。その発展と終焉は、周辺文化との複雑な相互作用の結果であり、考古学的な発見から、当時の社会や文化の一端を垣間見ることができます。今後の研究により、より詳細な歴史が明らかになることが期待されます。

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