プジョー・3008

プジョー3008：フランスが生んだSUVの傑作

プジョー3008は、フランスの自動車メーカー、プジョーが2009年から製造・販売するSUVです。プジョー308をベースに同社が初めて自社開発・生産したSUVという点で、三菱自動車からのOEM供給車とは異なる独自性を持ちます。

初代モデル（T84型、2009-2016年）

初代3008は、2008年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカー「プロローグHybrid4」を起源とし、翌2009年のジュネーブショーで市販モデルが公開されました。PSA PF2プラットフォームを採用し、2017年5月のフランスでの発売を皮切りに世界各国へ展開されました。日本市場には2010年6月に導入されました。

エクステリアデザインは、モノフォルム形状を採用することで、比較的コンパクトなボディながらも、広い室内空間と優れた積載性を両立しています。インテリアは、ラゲッジルームのフロア高を3段階に調整できる機構を備え、積載性の向上とリアシートの完全フラット化を実現。荷室容量は、ラゲッジボードまで荷物を積載した場合で512L、リアシートを格納した状態では1,604Lにまで拡大します。

パワートレインは、欧州市場では1.6Lガソリンエンジンや1.6L、2.0Lディーゼルエンジンが用意されましたが、日本市場へは1.6L直噴ターボガソリンエンジン（最高出力156PS、最大トルク24.5kg・m）のみが導入され、優れた燃費性能と力強い走りを両立しています。トランスミッションは、6速MTと6速ATが設定され、日本市場では6速ATのみが提供されました。

走行性能においては、FFレイアウトながら「ダイナミックロールコントロール」と「グリップコントロール」をプジョー車で初めて採用しました。「ダイナミックロールコントロール」は、リアサスペンションによるボディロール抑制システム、「グリップコントロール」は、マッド＆スノータイヤとモード切替式のトラクションコントロールシステムで構成されます。5種類の走行モード（標準、雪道、オフロード、砂地、ESPオフ）を選択でき、路面状況に応じて最適なトラクションコントロールが作動します。

日本市場では、「Premium」と「Griffe」の2グレードが設定され、パノラミックガラスルーフ、バイキセノンディレクショナルヘッドランプ、レザーシート（Griffeのみ）、オートエアコン、クルーズコントロール、ヘッドアップディスプレイなどの充実装備が魅力でした。2013年にはマイナーチェンジを実施しています。

中国市場版（2012年-）

神龍汽車が2012年から中国・武漢で生産した中国市場向けモデルは、フランス製モデルとは細部が異なる仕様となっていました。

2代目モデル（P84型、2017年-）

2016年5月に発表され、同年10月のパリモーターショーで一般公開された2代目3008は、PSA EMP2プラットフォームを採用。2017年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。発売から半年でヨーロッパで10万台のオーダーを獲得し、その半数はプジョー車初購入者だったというデータがあります。

2代目モデルでは、5008がミニバンスタイルから3008のロングホイールベース版へと大きく転換されています。中国市場では、デザインに変更のないロングホイールベース仕様が「4008」として販売されています。2020年にはマイナーチェンジを行い、ライオンの牙をモチーフとした縦型デイタイムライトや鉤爪型のテールライトなど、最新のプジョーデザインが取り入れられました。

日本市場における販売

日本市場では、プジョー・シトロエン・ジャポンが2017年3月13日に2代目3008の販売を開始。「アリュール」と「アリュールLEDパッケージ」に加え、限定モデルとして「アリュール デビューエディション」と「GTライン デビューエディション」が販売されました。2021年1月には、フェイスリフトモデルが発売され、「GT HYBRID 4」を含むプラグインハイブリッドモデルがラインアップに追加されました。

ダカール・ラリーでの活躍

プジョーは、ダカール・ラリーにおいても3008をベースとしたレーシングマシン「3008 DKR」を投入し、2017年から2018年まで3連覇を達成しました。2017年には、シリル・デプレ、ステファン・ペテランセル、セバスチャン・ローブ、カルロス・サインツらがドライブし、表彰台を独占する圧勝劇を演じました。2018年大会を最後にプジョーはダカール・ラリーから撤退しましたが、その後も3008 DKRは、プライベーターによって改造ベース車として使用され続け、ラリーシーンにその存在感を示し続けています。

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