プジョー・309

プジョー309：個性的な小型ハッチバックの軌跡

プジョー309は、フランスの自動車メーカーPSAグループが1985年から1993年にかけて製造した3ドアと5ドアの小型ハッチバックです。インドでも1994年から1997年まで生産されました。その歴史は、タルボブランドの車種「アリゾナ」として開発されたことに始まります。当初はタルボブランドで発売予定でしたが、PSAグループがタルボブランドを廃止したため、プジョーブランドでの発売が決定。この経緯から、既存のプジョー車とは異なる独自のモデルとして位置づけられました。

デザインとプラットフォーム

スタイリングは、同時代のプジョー205や405を手掛けたピニンファリーナではなく、PSAグループのイギリススタジオが担当しました。そのため、プジョー車としてはやや独特で、一部では不格好と評された個性的なデザインとなりました。興味深いのは、205とドアを共用している点です。このコスト削減策は、当時の自動車業界のトレンドでもありました。

シャシーは、人気モデルであった205と基本設計を共有し、サスペンション形式も同一です。このプラットフォームの共有によって、開発コストと製造コストの削減に成功しました。信頼性の高いプラットフォームを採用したことで、309の堅実な走りを支えました。

エンジンバリエーション

エンジンラインナップは豊富で、1.1Lと1.3LのOHVガソリンエンジン、1.8Lと1.9Lのディーゼルエンジン、そして1.6Lと1.9LのSOHCガソリンエンジンを搭載したモデルが用意されました。さらに、一部市場ではシムカ製の1.4Lと1.6Lエンジンも採用されました。エンジンバリエーションの豊富さは、様々な顧客のニーズに応えることを目的としていました。

モデル展開と改良

当初は5ドアハッチバックのみが発売されましたが、1987年には3ドアハッチバックが追加され、トップモデルとして1.9Lエンジン搭載のGTIが登場しました。205GTIに続くホットハッチとして人気を集めました。

1989年にはマイナーチェンジを実施。フロントグリルとリアデザインが変更され、テールランプが小型化され、リアウイングがリアガラス下部からトランク上部に移動しました。また、ダッシュボードのデザインも変更され、内装の品質向上も図られました。さらに、DOHC16バルブエンジンを搭載したGTI16やターボディーゼルモデルも追加されました。

1990年にはギアボックスの改良が行われ、1991年にはシムカ製エンジンが新しいTU型SOHCエンジンに置き換えられました。この年には、日本市場においても正規輸入車が右ハンドル仕様で設定されました。

生産終了

1993年、後継車である306の登場に伴い、プジョー309の生産は終了しました。8年間の生産期間中に、様々な改良が加えられ、多くのドライバーに愛されたモデルとなりました。その個性的なデザインと多様なエンジンバリエーションは、309の魅力の一つであり、多くの自動車ファンに記憶されています。

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