プジョー・505

プジョー505：フランスが生んだ優美な中型車

プジョー505は、フランスの自動車メーカー、プジョーが1979年5月から1992年6月にかけて製造・販売した中型乗用車です。1970年代後半から1990年代初頭にかけて、世界各国で販売され、多くのユーザーを魅了しました。504の後継車種として登場した505は、そのエレガントなデザインと実用的な機能性で、プジョーを代表するモデルの一つとなりました。

洗練されたデザインと広々とした車内空間

505のデザインは、イタリアの著名なデザインハウス、ピニンファリーナの手によるものです。特徴的な吊り目のヘッドライトと、滑らかな曲線で構成されたボディは、当時としては非常にモダンで洗練された印象を与えました。ボディスタイルは4ドアセダンと5ドアステーションワゴンの2種類が用意され、ステーションワゴンは広々とした荷室を備え、多様な用途に対応できる高い実用性を誇っていました。セダンモデルでも、504と共通のホイールベースでありながら、リアサスペンションの改良により後席のスペースが拡大され、快適な乗り心地を実現しています。リアサスペンションには、プジョー604と同様のセミトレーリングアーム式4輪独立懸架が採用されました。

多様なエンジンバリエーションと高い信頼性

エンジンは、プジョー、ルノー、ボルボの共同開発によるPRVエンジンをはじめ、様々なバリエーションが用意されていました。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方がラインアップされ、排気量も1,800ccから2,700ccまで多岐に渡ります。中でも、2,000ccのSOHCエンジンや、ターボディーゼルエンジン、さらにV型6気筒エンジンは、高い信頼性とスムーズな走行性能で定評がありました。ガソリンエンジンにはボッシュKジェトロニック燃料噴射システムを採用し、燃費向上とパワー増強に貢献しました。また、スポーティーなモデルとして「GTI」も設定され、ブラックのドアトリムやリアスポイラーなどを装備することで、スポーティな外観を強調していました。

世界中で活躍した505

505はフランス国内だけでなく、世界各国で販売され、その人気は非常に高く、フランスでは救急車への改造なども行われました。特に、ニューヨーク市のタクシーとして採用されたことは、フランス車として異例な出来事であり、505の高い信頼性と耐久性を証明する出来事と言えるでしょう。また、フランスの四輪駆動換装メーカーであるダンジェルによって、4x4仕様の「505 Break Dangel 4x4」も製作されました。さらに、中国の広州では1997年まで生産が続けられるなど、世界的な販売実績を誇ります。

日本における505

日本においては、西武自動車販売が正規輸入を行い、セダンモデルが販売されました。販売されたのは2000ccのTI/STI、マイナーチェンジ後の2200ccのGTI、2700ccのV6などです。しかし、日本市場ではバブル景気以前の車種ということもあり、輸入台数は決して多くありませんでした。そのため、現在では非常に希少な存在となっています。

505の系譜

1991年末に生産が終了した505の後継車は405となりました。これにより、プジョーの500番台モデルは一旦姿を消しましたが、2011年には508として復活を遂げました。505は、プジョーの歴史において重要な役割を果たしたモデルであり、そのデザイン、性能、そして世界的な人気は、今でも多くの自動車ファンを魅了し続けています。

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