プラウトゥス

ティトゥス・マッキウス・プラウトゥス（Titus Maccius Plautus、紀元前254年頃 - 紀元前184年）は、古代ローマの喜劇作家であり、初期ラテン文学において重要な人物です。彼の作品は、当時のローマの一般大衆の娯楽に対する欲求を満たすことを目指し、言葉遊びや独特なキャラクター設定など、演劇的な工夫を凝らしていました。プラウトゥスの喜劇は、その後のローマ演劇、さらには西洋演劇の歴史に大きな影響を与えました。

プラウトゥスの作品の特徴は、駄洒落や言葉遊びを多用し、登場人物の名前にその性格を反映させるなど、言語の面白さを重視した点にあります。彼の作品は、観客を笑わせ楽しませることを第一に考えており、そのため、物語全体の整合性や説得力は、他の作家に譲る部分もあったと言われています。しかし、そのエンターテイメント性は非常に高く、当時の観客を魅了し、現在でも多くの読者や観客を楽しませています。

プラウトゥスの作品は、数多く翻訳されており、日本語訳も複数存在します。以下に主な邦訳と書籍を挙げます。

邦訳

ほら吹き軍人（樋口勝彦訳）
世界文学全集第2期第16巻（古典篇 ギリシャ・ローマ文学篇）河出書房、1956年
捕虜（樋口勝彦訳）
世界文学大系 第2（ギリシア・ローマ古典劇集）筑摩書房、1959年
古代ローマ喜劇全集（東京大学出版会）
第1巻：アンフィトルオ、黄金の壷、バッキス姉妹、捕虜（鈴木一郎訳）、アスィナリア（岩倉具忠訳）（1975年）
第2巻：小箱の話、クルクリオ、メナエクムス兄弟、商人（鈴木一郎訳）、カシィーナ、エピディクス（安富良之訳）（1976年）
第3巻：ほら吹き兵士（岩倉具忠訳）、幽霊屋敷、ペルシャ人（鈴木一郎、安富良之訳）、カルタゴ人（鈴木一郎訳）（1977年）
第4巻：プセウドールス、あみづな、スティクス、三文銭、トルクレントゥス、旅行かばん（鈴木一郎訳）（1978年）
綱曳き（松平千秋訳）
世界文学全集 2、講談社、1978年
ローマ喜劇集（京都大学学術出版会）
1：アンピトルオ（木村健治訳）、ロバ物語（宮城徳也訳）、黄金の壺（五之治昌比呂訳）、バッキス姉妹（小川正廣訳）、捕虜（竹中康雄訳）（2000年）
2：カシナ（山下太郎訳）、小箱の話（岩谷智訳）、クルクリオ（小川正廣訳）、エピディクス（五之治昌比呂訳）、メナエクムス兄弟（岩崎務訳）（2001年）
3：商人、ほらふき兵士（木村健治訳）、幽霊屋敷（岩谷智訳）、ペルシア人（竹中康雄訳）、カルタゴ人（山沢孝至訳）（2001年）
4：プセウドルス（高橋宏幸訳）、綱引き、スティクス（小林標訳）、三文銭（上村健二訳）、トルクレントゥス（宮城徳也訳）、旅行かばん（藤谷道夫訳）（2002年）

参考図書

ギリシャ・ローマ演劇史 第6巻（新関良三著、東京堂、1957年）
ローマ喜劇・悲劇作家作品研究
ローマ喜劇（小林標著、中公新書、2009年）

外部リンク

Biographical material on Plautus
* Works by Plautus

プラウトゥスの作品は、古代ローマの社会や文化を反映しており、その喜劇的な要素は、現代の読者や観客にとっても非常に興味深いものです。彼の作品を通して、古代ローマの生活やユーモアに触れてみてはいかがでしょうか。

もう一度検索