プラタープ・シンハ・シャハ

プラタープ・シンハ・シャハ

プラタープ・シンハ・シャハ（Pratap Singh Shah, 1751年4月16日生 - 1777年11月17日没）は、ネパール王国の歴史において第2代君主の地位に就いた人物です。別称としてシンハ・プラタープ・シャハとも呼ばれます。初代国王としてネパールを統一した偉大な父、プリトビ・ナラヤン・シャハの長男として生を受けました。彼の治世は1775年から1777年までのわずか二年余りという短期間でした。

生涯

プラタープ・シンハは、1751年4月16日に、当時のゴルカ王（後にネパール王となる）プリトビ・ナラヤン・シャハの子息としてこの世に生を受けました。

1775年1月11日、父であるプリトビ・ナラヤンが崩御したことを受け、プラタープ・シンハが王位を継承し、ネパール王国の新たな君主となりました。

しかし、彼の治世は当初から安定したものではありませんでした。彼は、自身の叔父と、弟であるバハドゥル・シャハが自らの命を狙う計画を進めていると疑念を抱きました。この疑いに基づき、弟のバハドゥル・シャハを投獄する措置をとりました。一方、叔父は捕捉される前に逃亡したとされています。しかし、彼らが実際に謀反を企てていたことを示す明確な証拠は見つからず、後に王弟バハドゥル・シャハは釈放されることとなります。この出来事は、建国間もないネパール王国の内部における権力構造の不安定さを示唆しています。

国内の混乱の一方で、プラタープ・シンハは外交面で重要な成果を上げました。同年、彼は父王プリトビ・ナラヤンが交渉の途中で志半ばに終わらせていたチベットとの交易に関する協定の締結に成功しました。この協定は、両国間の経済関係を規定する重要な内容を含んでいました。具体的には、ネパールとチベットの間で使用される貨幣の純度を平等に保つこと、その純度に関する基準は両国間の協議によって決定されること、そして特定の場所（ケルンおよびクティ）以外の地域へ金銀を持ち出さないことなどが定められました。この協定の締結は、ネパール王国がチベットとの交易を通じて経済的な安定を図る上で大きな一歩となりました。

残念ながら、プラタープ・シンハの治世は長く続きませんでした。1777年11月17日、彼は崩御しました。彼の死後、王位は当時まだ2歳であった長男のラナ・バハドゥル・シャハに引き継がれることとなります。このように、プラタープ・シンハ・シャハは短い生涯の中で、国の内外にわたる様々な課題に直面しながらも、父王の遺志を継いで外交上の成果を挙げるなど、その治世の痕跡を残しました。

参考文献

佐伯和彦『世界歴史叢書 ネパール全史』明石書店、2003年。

関連項目

ネパール王国
ゴルカ朝
プリトビ・ナラヤン・シャハ
ラナ・バハドゥル・シャハ
バハドゥル・シャハ

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