プラダル・セレイ

プラダル・セレイ（クン・クメール）とは

プラダル・セレイ（ប្រដាល់សេរី, Pradal Serey）またはクン・クメール（គុនខ្មែរ, Kun Khmer）は、カンボジアの伝統的な格闘技です。タイのムエタイやミャンマーのラウェイと同様に、立ち技を主体とする格闘技であり、カンボジア国内では非常に人気があります。

歴史

プラダル・セレイは12世紀頃から存在していたとされ、カンボジアの長い歴史の中で、周辺諸国の脅威に対抗するための武術として発展しました。当初は武器を用いた格闘術でしたが、時代とともに徒手格闘へと変化していきました。

フランスの保護国時代には、フランス人によってルールが整備され、現在のプラダル・セレイの基礎が築かれました。具体的には、ラウンド制の導入、四角いリングでの試合、ボクシンググローブの着用、危険な技の制限などが定められました。これにより、近代的な格闘技としての形態が整えられました。

1970年代には、ポル・ポト率いるクメール・ルージュによる恐怖政治下で、プラダル・セレイは禁止されました。多くの選手が強制労働に従事させられ、命を落とした者も少なくありません。しかし、ポル・ポト政権崩壊後、プラダル・セレイは再び復活し、現在ではカンボジアの重要な文化の一つとして広く親しまれています。

概要

プラダル・セレイは、カンボジア国内でテレビ中継されるほどの人気を誇っています。試合はトーナメント形式で行われ、多くの観客が熱狂します。また、ムエタイと同様に、試合結果を対象とした賭けも行われており、国民の娯楽として定着しています。

選手の実態

プラダル・セレイの選手たちは、貧困からの脱却や家族を養うために、厳しいトレーニングに励んでいます。試合で得られるファイトマネーは決して高くはありません。新人選手の場合、1試合あたりの報酬は約25ドル程度であり、観客からのチップや差し入れが貴重な収入源となっています。ベテラン選手になると、1試合あたり約75ドル程度のファイトマネーを得ることができます。また、スポンサーがついたり、テレビ中継されるような有名選手になると、さらに高額な報酬を得られるようになります。

試合形式とルール

試合は3分5ラウンド制で行われ、6.1メートル四方の四角いリングで戦います。試合前には、ムエタイのワイクルーに似た儀式が踊られ、試合中にはカンボジアの伝統音楽が流れます。選手はボクシンググローブとトランクスを着用し、パンチ、キック、肘打ち、膝蹴りなどの技を駆使して戦います。

試合は、KOまたは判定によって勝敗が決まります。反則行為としては、相手が立っていない状態での攻撃、ロープを掴む行為、金的攻撃、脊髄への攻撃、噛み付きなどが挙げられます。これらの反則行為を行うと、減点や失格となる場合があります。

関連項目

格闘技の一覧
ボッカタオ

外部リンク

* ヒューマンウェポン・世界の格闘技・プラダル・セレイ①

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