トルクコンバータ

トルクコンバータの詳細解説

トルクコンバータとは、流体力学に基づいた動力伝達装置で、特に自動車のオートマチック[[トランスミッション]]に欠かせない部品です。一般的には「トルコン」と略されることがあり、その主な機能は入力側と出力側の回転に応じてトルクを増幅することにあります。これは、流体継手とは異なり、入力および出力間の回転差によってトルクが変換されるため、「コンバータ」としての役割を持ちます。

トルクコンバータの動作原理

トルクコンバータの内部構造は、ポンプインペラ、タービンランナ、そしてステータと呼ばれる固定翼から成り立っています。流体（通常はオイル）がこの内部で循環しており、ポンプインペラが生成するオイルの流れがタービンランナを駆動します。タービンランナが受ける慣性力によって出力軸が回転し、ステータはタービンからの排出流を整流することで、運動エネルギーをポンプインペラに還元し、トルクを増幅します。

一方、ポンプインペラとタービンランナの回転速度が接近すると、ステータによるトルク増幅効果が減少するため、ワンウェイクラッチを導入して、ステータがタービンランナと同じ回転速度で動くように設計されています。この構造によって、トルクコンバータは効率的に動作します。

自動車におけるトルクコンバータの利用

トルクコンバータは、主に自動車のオートマチック[[トランスミッション]]で利用されます。特に、車両初動時の強力なトルク提供が求められる場面において、その効果が顕著に表れます。しかし最近では、ハイブリッド車のように電動機によるトルク提供が可能な車両が増え、それに伴ってトルクコンバータの役割が変化してきています。

1970年代からトルクコンバータは進化し、ロックアップ機構が導入され、伝達効率の向上が図られています。これにより、変速機構が不要な速度域では、入力と出力を直接接続でき、エネルギーの無駄を減らすことが可能になりました。更に、コンピュータ制御が加わることで、定速運転中の効率や快適性が向上しています。

燃費と快適性の両立

ロックアップは、伝達効率を向上させることができますが、ショックや振動を発生させやすく、快適性に影響を与える可能性があります。そのため、低回転数でのロックアップが行われる際には、パワートレインの特性を考慮し、振動が発生しにくいよう工夫がされています。この点をクリアするために、ダンパー機構を持つロックアップクラッチが開発され、スリップ制御が導入されています。

トルクコンバータの応用

トルクコンバータは、乗用車だけでなく、鉄道や大型自動車の励行装置にも利用されています。特に鉄道用では、トルクコンバータにより中低速域での滑らかな運転が可能となると同時に、高速域では直結運転に切り替えられます。また、流体式リターダという補助ブレーキ装置もトルクコンバータを応用した技術です。

以上のように、トルクコンバータは自動車分野において重要な役割を果たし続けており、今後の技術革新によりさらにその機能や有用性が進化していくことでしょう。

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