プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW200

プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW200シリーズ

プラット・アンド・ホイットニー・カナダのPW200は、カナダで設計されたヘリコプター用ターボシャフトエンジンで、主に小型・中型のヘリコプターに用いられています。このエンジンは1990年代から幅広く運用されており、PW206およびPW207シリーズと、2010年代から展開されているPW210シリーズがあります。

開発背景

1980年代初頭、ヘリコプター向けの小出力エンジン市場は主にリーダーであるアリソン250が占めていましたが、プラット・アンド・ホイットニー・カナダは、より信頼性の高いエンジンを求めて開発に乗り出しました。特に、油田探索の需要が高まっていた時期であり、ヘリコプターの用途が拡大していました。この市場の成長を背景に、カナダ政府と州政府はヘリコプター産業に対する支援を強化し、エンジン開発の後押しをしました。

1983年には、カナダ政府がベル・ヘリコプターに新たな工場を誘致しつつ、プラット・アンド・ホイットニーに対してベル400向けエンジンの開発を支援する合意が結ばれました。同年、PW200の開発は次世代の高出力低燃費エンジンとして発表され、当初の出力目標は400-500shp（約300-370kW）でしたが、最終的には500-800shp（約370-600kW）に引き上げられました。

構造および性能

PW200シリーズは、おおまかに分けてエンジンの前部、ギアボックス部、そして後部のガスタービン部から成り立っています。この構成により動力伝達機構、潤滑システム、トルク測定機器を一体化し、効率性を向上させています。ガスタービン部は、最小限の回転部品による構成が特徴で、単段遠心圧縮機や単段タービンを搭載したフリータービン型の設計です。

PW210シリーズでは、二段の圧縮機とパワータービンが新たに採用され、圧縮やタービンの性能向上が図られています。加えて、進化した制御システムのFADEC（電子制御式エンジン管理システム）が搭載されており、運転の簡便性や整備の容易さが向上しました。

主な派生型と採用機

PW200シリーズには多数の派生型が存在し、PW206AやPW207Dといったモデルがヘリコプターに幅広く採用されています。特にPW206シリーズは、商業用軽量双発ヘリコプターの中で高い人気を誇り、さまざまな機体に対応しています。最近では、PW210がシコルスキー S-76Dやアグスタウェストランド AW169に搭載されています。

まとめ

PW200シリーズのターボシャフトエンジンは、その高い信頼性と効率性で知られ、ヘリコプター産業において重要な役割を果たしています。過去の開発プロジェクトを通じて得た実績は、各種航空機に応じたカスタマイズによって今後の市場ニーズにも応え続けることでしょう。

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