プラート

イタリア、トスカーナ州の古都プラート：繊維産業と多様な文化が織りなす街

プラートは、イタリア共和国トスカーナ州に位置する都市で、プラート県の県都です。人口は約20万人を擁し、伝統的な繊維産業の町として知られています。近年は、南イタリアや海外からの移民を多く受け入れ、多様な文化が共存する街へと発展を遂げています。

地理と気候

プラートは、トスカーナ州の北西部に位置し、アペニン山脈の麓に広がっています。周辺のコムーネ（自治体）としては、アリアーナ、カレンツァーノ、カンピ・ビゼンツィオなどが隣接しています。気候は温暖で、夏は暑く乾燥し、冬は比較的温暖です。年間を通して降水量は比較的少なく、過ごしやすい気候と言えるでしょう。

歴史

プラートの歴史は古く、旧石器時代から人が居住していたことが確認されています。その後、エトルリア人によって植民地化され、羊毛と繊維産業の中心地として発展しました。古代ローマ時代には、カッシア街道が建設されましたが、大規模な定住地は築かれませんでした。

中世に入ると、プラートは2つの村が統合されて誕生しました。12世紀には自由コムーネとして発展し、繊維産業の隆盛と聖遺物「サクラ・チントラ」の存在により人口が増加しました。14世紀にはフィレンツェ共和国の支配下に入り、その後はメディチ家の支配を経て、都市としての地位を確立しました。

19世紀には、イタリア統一運動（リソルジメント）の中で、プラートは国内有数の工業中心地として発展し、「イタリアのマンチェスター」と呼ばれるほどになりました。20世紀以降は、多くの移民を受け入れ、特に近年は中国人コミュニティが拡大しています。

みどころ

プラートには、歴史的な建造物や美術館など、数多くの見どころがあります。

プラート大聖堂: 10世紀に建てられたサント・ステファノ教会を前身とする大聖堂。ロマネスク様式の美しい建物で、ドナテッロ作の説教壇やフィリッポ・リッピ作のフレスコ画など、貴重な美術品を所蔵しています。
パラッツォ・プレトーリオ: 13世紀に建てられた赤煉瓦の建物で、後期ゴシック様式の白い石を用いた装飾が特徴です。
インペラトーレ城: 13世紀に皇帝フリードリヒ2世によって建てられた城。現在は美術館や教育センターとして利用されています。
サンタ・マリア・デッレ・カルチェリ聖堂: ルネサンス期の建築家ジュリアーノ・サンガッロによって設計された聖堂。ブルネレスキのパッツィ礼拝堂に触発された、美しいギリシャ十字型の平面図が特徴です。

中国人移民コミュニティ

近年、プラートでは中国（特に温州）からの移民が急増しており、イタリアで2番目の規模のチャイナタウンを形成しています。彼らの多くは服飾産業に従事しており、プラートの経済に大きな影響を与えています。しかし、その労働環境や社会統合の問題も指摘されており、今後の課題となっています。

プラートは、長い歴史の中で様々な文化を受け入れ、独自の発展を遂げてきた街です。繊維産業の伝統を守りながら、新しい文化を取り入れ、常に変化し続けています。イタリアを訪れる際には、ぜひプラートにも足を運び、その魅力を体験してみてください。

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