プリミティヴ・クール

ミック・ジャガーの2作目のソロ・アルバム『プリミティヴ・クール』（Primitive Cool）は、1987年にリリースされました。このアルバムは、彼の音楽的な探求心と多様な才能を示す作品として、ファンや批評家から注目を集めました。

アルバム制作の背景には、1986年公開の映画『殺したい女』の主題歌「Ruthless People」の提供があります。この曲は、ミック・ジャガー、デイヴ・スチュワート（ユーリズミックス）、ダリル・ホールの共作であり、ジャガーのソロ・シングルとしても発表されました。このコラボレーションがきっかけとなり、ジャガーはユーリズミックス結成前から才能を認めていたデイヴ・スチュワートを共同プロデューサーとして迎え、本作の制作に取り組みました。

『プリミティヴ・クール』は、前作『シーズ・ザ・ボス』に引き続き、ジェフ・ベックが参加している点も大きな特徴です。ベックの卓越したギタープレイは、アルバムに深みと彩りを添えています。また、収録曲は、ミック・ジャガーとデイヴ・スチュワートの共作による楽曲が多く、彼らの創造性が融合した作品となっています。

1988年、ジャガーは日本とオーストラリアで初のソロ・ツアーを行い、アルバムのプロモーションを行いました。ツアーには、アルバムにも参加したジミー・リップ、ダグ・ウィンビッシュ、サイモン・フィリップスらが帯同し、強固なバンドサウンドを披露しました。ジェフ・ベックはツアーには参加しませんでしたが、代わりにジョー・サトリアーニがリードギターを担当し、観客を魅了しました。

アルバムには、「スローアウェイ」「レッツ・ワーク」「ラジオ・コントロール」「セイ・ユー・ウィル」「プリミティヴ・クール」「コウ・トウ」「シュート・オフ・ユア・マウス」「ピース・フォー・ザ・ウィキッド」「パーティー・ドール」「ウォー・ベイビー」といった楽曲が収録されています。これらの楽曲は、ジャガーの作詞・作曲によるものが中心ですが、「レッツ・ワーク」や「セイ・ユー・ウィル」「コウ・トウ」のように、デイヴ・スチュワートとの共作も含まれています。

参加ミュージシャンも豪華で、ジェフ・ベック、G.E.スミス、ダグ・ウィンビッシュ、サイモン・フィリップスといった実力派が名を連ねています。さらに、ジム・バーバー、ジミー・リップ、デイヴ・スチュワート、ヴァーノン・リード、ディーン・ガルシア、オマー・ハキムなど、多数のアディショナル・ミュージシャンが参加し、アルバムに多様な音楽性をもたらしています。

キーボードには、フィル・アシュリー、リチャード・コットルに加え、パット・セイモア、デンジル・ミラー、グレッグ・フィリンゲインズが参加。サックスには、デイヴィッド・サンボーン、ビル・エヴァンスが参加し、楽曲に深みを与えています。また、ジョン・ファディス（トランペット）、シーン・キーン（フィドル）、パディ・モロニー（ホイッスル、イーリアン・パイプ）など、多彩なゲストミュージシャンが参加しています。

『プリミティヴ・クール』は、ミック・ジャガーのソロ活動における重要な作品であり、彼の音楽的な幅広さと、様々なミュージシャンとのコラボレーションを通じて生まれる創造性を体現したアルバムと言えるでしょう。

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