プレタポルテ (映画)

パリコレの裏側を描く群像劇コメディ『プレタポルテ』

1994年、ロバート・アルトマン監督によって製作された映画『プレタポルテ (Prêt-à-Porter)』は、華やかなパリコレを舞台に、ファッション業界の人々をコミカルに描いた群像劇です。有名デザイナーやモデル、ジャーナリスト、マスコミ関係者など、多様な登場人物が織りなす物語は、その世界観の華やかさと裏腹な現実をシニカルに描き出しています。

豪華キャストの競演

本作の最大の魅力は、豪華な実在の有名人たちが、自身を演じる形で出演している点です。ジャン＝ポール・ゴルチエ、ニコラ・トラサルディ、クリスチャン・ラクロワ、ソニア・リキエル、三宅一生、クロード・モンタナ、ジャンフランコ・フェレなど、そうそうたるデザイナーたちが自身のブランドを携え、パリコレの熱気をリアルに再現。さらに、ナオミ・キャンベル、ヘレナ・クリステンセン、クラウディア・シファー、クリスティー・ターリントン、カーラ・ブルーニといったスーパーモデルたちが、華麗なランウェイを彩ります。 エルサ・クレンシュなど、ファッションジャーナリストたちも登場し、業界のリアルな雰囲気を盛り上げます。

これらファッション界のスターに加え、シェール、ハリー・ベラフォンテ、デヴィッド・カッパーフィールド、ビョーク、川原亜矢子といった、様々な分野で活躍する有名人もカメオ出演しています。彼らの存在は、映画にさらなる華やかさと奥行きを与えています。

謎めいた事件と予測不能な展開

物語は、モスクワのクリスチャン・ディオールのブティックで、2組の青いネクタイを購入したセルゲイ・オブローモフという仕立屋から始まります。この青いネクタイは、その後、パリコレのプレタポルテ協会会長であるオリヴィエ・ド・ラ・フォンテーヌの身に危険を招く、重要なアイテムとなります。オリヴィエは、オブローモフに空港で会うという謎めいたメッセージを受け取ります。

空港で再会した2人。多忙を極めるオリヴィエは、多くのメディア関係者からの取材攻勢を避けながら、オブローモフとの再会に驚きを隠せません。空港内のカフェでサンドウィッチを買い、車で移動中にサンドウィッチを詰まらせて突然死するという、意外な展開が物語をさらに複雑にしていきます。

登場人物たちの思惑と人間関係

オリヴィエの死をきっかけに、様々な登場人物たちの思惑や人間関係が複雑に絡み合っていきます。彼の妻であるイザベラ、取材に来たキティ・ポッター、そして、空港で出会ったオブローモフなど、それぞれの登場人物は個性豊かで、業界の競争や陰謀、人間模様がリアルに描かれます。

マルチェロ・マストロヤンニ、ソフィア・ローレン、ジャン＝ピエール・カッセル、キム・ベイシンガーといった名優たちの演技も素晴らしく、登場人物たちの感情や葛藤を深く表現しています。それぞれのキャラクターが持つ複雑な人間関係や、業界特有の競争、そして意外な展開が絡み合い、最後まで目が離せない作品となっています。

ファッションと音楽が織りなす世界

『プレタポルテ』は、ファッションと音楽が絶妙に融合した作品でもあります。数々の有名ブランドが登場し、華やかなコレクションシーンは観客を魅了します。イッセイミヤケ、イネス・ド・ラ・フレサンジュ、ブルガリ、トラサルディ、ジャンフランコ・フェレ、ソニア・リキエル、クリスチャン・ディオール、シャルヴェ、ジャン＝ポール・ゴルチエ、クリスチャン・ラクロワ、クロード・モンタナなど、多くのブランドが映画の中で取り上げられています。

サウンドトラックには、アイニ・カモーゼ、スーパーキャット、ソルト・ン・ペパ、Mピープル、ジャネット・ジャクソン、ローリング・ストーンズ、サム・フィリップス、ザ・クランベリーズ、ディープ・フォレスト、ブランニュー・ヘヴィーズ、シーシー・ペニストン、ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション、テレンス・トレント・ダービー、U2などの楽曲が使用され、映画の世界観をさらに盛り上げています。クラシック音楽や、ピチカート・ファイヴ、ビョークなどの楽曲も使用され、時代感を反映したサウンドが魅力です。

予測不能な展開と、ファッション業界のきらびやかさと陰影を描き出す痛快な物語。一度観たら忘れられない、強烈な印象を残す映画です。

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