プレミアシップ・ラグビー

イングランドにおけるクラブチームの最高峰リーグが、プレミアシップ・ラグビーです。現在の命名権契約により、ギャラガー・プレミアシップ・ラグビー、あるいは単にギャラガー・プレミアシップとも呼ばれています。このリーグは、イングランドラグビーにおける頂点に位置し、国内外の注目を集めています。

リーグ戦は原則として昇降格制度を採用しており、シーズン最下位のチームは下位リーグであるRFUチャンピオンシップへ降格します。一方、RFUチャンピオンシップで優勝したチームは、翌シーズンにプレミアシップへ昇格する権利を得ます。ただし、近年の状況によってはこの制度が適用されないケースも見られます。

概要

プレミアシップ・ラグビーのルーツは、イングランドラグビー協会（RFU）がリーグ戦導入に消極的だった時代に遡ります。アマチュア精神を重んじ、選手への報酬支払いやプレーの荒れを防ぐため、長らくクラブ間の正式なリーグ戦は存在しませんでした。唯一のリーグ形式の大会として、1889年から州（カウンティ）代表チームによるカウンティ選手権が開催されていました。

クラブチームによる大会が初めて公式に開催されたのは1971年で、「RFUノックアウト・カップ」というカップ戦でした。この大会は後に冠スポンサーが付き、ジョン・プレーヤー・カップなどと名称を変えながら2018年まで続きました。

クラブのトップリーグとして現在のプレミアシップの前身が誕生したのは1987年です。ビール会社のCourageが冠スポンサーとなり、「カーリッジリーグ・ナショナル・ディビジョン1」としてスタートしました。当初は12チームが参加し、ホーム＆アウェーではない総当たり戦が行われました。プロ化の波が訪れたのは1996年で、これにより選手の報酬支払いが認められ、リーグを取り巻く環境が大きく変化しました。

リーグ名称はその後、冠スポンサーの変更に伴い「アライド・ダンバー・プレミアシップ」（1997年〜）、「チューリッヒ・プレミアシップ」（2000年〜）、「ギネス・プレミアシップ」（2005年〜）、「アビバ・プレミアシップ」（2010年〜）と変遷し、2018-19シーズンからは現在の「ギャラガー・プレミアシップ」となっています。

プレーオフ制度は2000-01シーズンに初めて導入されましたが、当初は形式を巡って議論を呼びました。現在の形式に近い、レギュラーシーズン上位チームによるプレーオフ勝者を「イングランドチャンピオン」とする方式は、2002-03シーズン以降に確立されました。

近年の動向と課題

プレミアシップは国際的な露出も試みており、2016年にはアメリカ合衆国で公式戦が開催されました。その後も継続的な開催が計画されましたが、実現には至っていません。

近年は、リーグ運営においていくつかの大きな課題に直面しています。2019-20シーズンには、強豪サラセンズがリーグの定める年俸上限（サラリーキャップ）に違反していたことが発覚し、多額の罰金と勝ち点減点処分、そして最終的にRFUチャンピオンシップへの降格処分を受けました。

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、リーグは一時中断や日程変更を余儀なくされました。経済的な影響を考慮し、数シーズンにわたってリーグからの降格が見送られる措置が取られました。

さらに、2022-23シーズンにかけては、複数のクラブが経営難に陥り、ウスター・ウォリアーズ、ワスプス、そしてシーズン終了後にはロンドン・アイリッシュが相次いで経営破綻し、リーグから脱退する事態となりました。これにより、リーグ参加チーム数は減少しました。

現在のリーグ形式

2024-25シーズン現在、プレミアシップは10チームで構成されています。レギュラーシーズンは各チームがホーム＆アウェーで互いに対戦する総当たり方式で行われ、全18節を戦います。レギュラーシーズンの上位4チームがプレーオフに進出し、優勝を争います。プレーオフは準決勝と決勝のトーナメント形式で行われます。

また、プレミアシップに参加するチームは、ヨーロッパのクラブチームによる主要大会であるヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップやEPCRチャレンジカップへの出場資格を得ます。レギュラーシーズン上位8チームにはチャンピオンズカップの、9位チームにはチャレンジカップの出場権が与えられます。

プレミアシップは、フランスのトップ14やウェールズ、スコットランド、アイルランド、イタリア、南アフリカのチームが参加するユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップなどと並び、世界の主要なクラブラグビーリーグの一つとして位置づけられています。

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