プログアニル

プログアニル (Proguanil) について

プログアニルは、マラリアの予防に用いられる抗マラリア薬の一つです。この薬剤は、マラリア原虫がヒトの体内で増殖するのを防ぐ効果があります。特に、スポロゾイトと呼ばれるマラリア原虫の初期段階に有効で、熱帯熱マラリア原虫が赤血球内で増殖するのを抑制する作用があります。

プログアニルは、服用後に体内で活性代謝物であるシクログアニルに変換されます。このシクログアニルが、マラリア原虫の生命活動に必要な酵素を阻害することで、抗マラリア効果を発揮します。そのため、プログアニルは単独で使用されることは少なく、他の抗マラリア薬、特にクロロキンやアトバコンと併用されるのが一般的です。

効能と効果

プログアニルは、主に以下の目的で使用されます。

マラリアの予防: マラリア流行地域への渡航者や、その地域に居住する人々のマラリア予防に用いられます。
マラリアの治療: 他の抗マラリア薬と併用することで、マラリアの治療にも使用されます。

特に、アトバコンとの合剤（商品名：マラロン）やクロロキンとの合剤（商品名：サバリン）として用いられることが多いです。アトバコンとの合剤は、クロロキン耐性や多剤耐性のマラリア原虫にも有効で、メフロキンよりも副作用が少ないとされています。しかし、毎日服用する必要があるため、費用が高くなるという側面もあります。

注意事項

プログアニルの使用にあたっては、いくつかの注意点があります。

長期服用時の副作用: 数ヶ月以上にわたってプログアニルを服用する場合、不機嫌や不安感などの精神的な副作用が現れる可能性があります。これらの症状は徐々に現れるため、注意が必要です。
他の薬剤との相互作用: プログアニルは他の薬剤との相互作用が起こる可能性があるため、医師や薬剤師に相談することが重要です。

作用機序

プログアニルの抗マラリア作用のメカニズムは、主に以下の通りです。

ジヒドロ葉酸レダクターゼ（DHFR）の阻害: プログアニルが代謝されて生成されるシクログアニルが、マラリア原虫のDHFRという酵素に結合し、葉酸の代謝を阻害します。この酵素はマラリア原虫の生存に必要なため、阻害されることで原虫の増殖が抑制されます。
その他の作用: プログアニルはDHFR以外にも作用する可能性が示唆されていますが、具体的なメカニズムはまだ完全に解明されていません。

その他の情報

プログアニルは、WHO（世界保健機関）の必須医薬品モデル・リストにも収載されており、世界的に重要な抗マラリア薬として認識されています。特に、マラリア流行地域に住む鎌状赤血球症の小児のマラリア予防にも長年使用されてきました。

関連情報

アトバコン: プログアニルと併用されることの多い抗マラリア薬
クロルヘキシジン: 消毒薬

外部リンク

* Malarone official website

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